地球温暖化の影響で氷が溶けるとどうなる?
『ペンギンかぞくのおひっこし』
『ペンギンかぞくのおひっこし』
「地球温暖化の影響で、ペンギンたちの住処である氷のお家が溶けてしまいます。このままでは暮らすことができません。そこで、ペンギンの大家族はお引っ越しをすることに。きれいな海、美しい原っぱ、豊かな森と自分たちが心地よく暮らせる理想の場所を求めます。しかし、どこもかしこも人間によって美しい自然が奪われていたため、住める場所がありません。こうなったらいよいよ、とペンギンたちは思い切った行動に出ます。
色とりどりのページと、暗い色合いのページが入り混じった構成によって、希望を描いたりがっかりしたり……。また、愛らしいペンギンたちに子どもの気持ちが近づくはずです。地球温暖化の危機を感覚的にとらえられる作品。美しい絵とやさしい語り口で、小さい子におすすめです」
『ペンギンかぞくのおひっこし』
絵・文:刀根里衣(小学館)
対象年齢:3歳くらいから
もったいない意識がエコに繋がる!
『もったいないばあさん』
『もったいないばあさん』
「いまや世界で知られる日本語のひとつ、“もったいない”。これこそ環境問題に向き合う、初めの一歩ならぬひと言でしょう。まだまだ使えそうなもの、節約するべきものなど、もったいないばあさんが、お家の中の「もったいない」を見つけて、注意してくれます。その気さくでユニークな姿がたまらない、大人気シリーズの元祖。基本的な学びがあり、しかもすぐに実践できるので、子どもにとってもハードルは低く、親しみやすさ満点です」
『もったいないばあさん』
作:真珠まりこ(講談社)
対象年齢:3歳くらいから
人間が捨てたゴミが動物たちの居場所を奪っている
『やまからにげてきた・ごみをぽいぽい』
『やまからにげてきた・ごみをぽいぽい』
「横書きのタイトル『やまからにげてきた』の表紙を左側にめくると、動物たちがどんどんどんどん山から逃げていく様子が描かれています。逃げてきた訳は、山の工事が始まり、動物たちの住処にゴミ捨て場ができたからです。ゴミ捨て場ができたのは、ゴミをポイポイと捨てる人間がいるから、と読み進み……、最後に裏表紙の『ゴミをぽいぽい』というタイトルが出てきます。実は、これがまた表紙となり、裏から表へと読み返すことができるのです。ゴミをぽいぽいすると、動物たちが、山から逃げてきた、という具合に。ダイナミックな絵で迫ってくる、ゴミと命の問題。小さな子どもが楽しく学べる、ユニークなリバーシブル絵本です」
『やまからにげてきた・ごみをぽいぽい』
作:田島征三(童心社)
対象年齢:3歳くらいから
ナマケモノが暮らす豊かな森を守ろう!
『ナマケモノのいる森で』
『ナマケモノのいる森で』
「ナマケモノが暮らす豊かな森があります。しかし突然、人間の開発によって破壊され、動物や鳥たちは居場所を失ってしまいました。すべてが失われたと思った頃、1人の自然を思う人物が現れます。
森の再生を、手の込んだ繊細な仕掛けで描いた絵本。目を近づけて、あらゆる角度から、折り重なる森をのぞいてみると、さまざまな生きものたちの様子が見えて森が生きているように感じます。産業や経済の発展にあくせくせず、ナマケモノが暮らせるような、スローな社会であることが尊重される世界を、子どもたちは肯定的にとらえることができるでしょう。森の中のナマケモノ探しも楽しいので、ぜひ親子でトライしてみてください」
『ナマケモノのいる森で』
文:ソフィー・ストラディ、しかけ:アヌック・ボワロベール、ルイ・リゴー、訳:松田素子(アノニマ・スタジオ)
対象年齢:3歳くらいから
※現在品切れのため重版中。2022年2月初旬に販売予定。
リサイクルの基本を学べる
『ポリぶくろ、1まい、すてた』
『ポリぶくろ、1まい、すてた』
「ある女の人が、路上にプラスチックの袋をポイ捨てしてしまいました。ほかの人も同じことをやるうちに、どんどん量が増えていくことに気づきます。そのことに悩んだ彼女は、目についたポリぶくろを集めることに。いったいなにをするのでしょう。彼女の名案とは……!
読みながらそのアイディアに、やってみたい、真似してみたいと子どもの意欲が掻き立てられるはずです。プラごみ問題に、ポジティブに向き合う賢いお話で、リサイクルの基本も学べる、アフリカが舞台の素晴らしい絵本」
『ポリぶくろ、1まい、すてた』
作:ミランダ・ポール、絵:エリザベス・ズーノン、訳:藤田千枝(さ・え・ら書房)
対象年齢:6歳くらいから
変化する街の様子をお家の視点から描く
『ちいさいおうち』
『ちいさいおうち』
「丘のうえに建つ小さいお家。自然の中で四季の移り変わりを感じ、穏やかに暮らしていました。ところが、時代の変化とともに、あたりの様子が変化します。ビルが立ち並び、騒音にまみれ、小さいお家にはお日さまの光もわずかしか届かなくなり……。
まるで表情があるかのような小さいお家に気持ちを寄せ、同じように喜んだりがっかりしながら、“幸せに暮らせる環境とはどんなところだろうか”という思いを小さい子に抱かせてくれます。産業の発展以上に大切なのは自然。何度も立ち返りたい名作です。石井桃子さんの日本語訳もやさしく美しい」
『ちいさいおうち』
作:バージニア・リー・バートン、訳:いしいももこ(岩波書店)
対象年齢:4歳くらいから
巡りゆく水の尊さを考えるきっかけに
『しずくのぼうけん』
『しずくのぼうけん』
「ある村の女の人が持っていたバケツから、一滴のしずくがこぼれ落ちます。その可愛いしずくはどこへ行くのでしょう。お日さまに照らされ、空へ登って、それから雨になって地面に戻り、冷やされて氷になって……と冒険は続きます。
そのときどきによって変化する水の性質が、小さい子でもわかりやすい物語になっている科学絵本。何よりも、しずくは水。そして水は、身の回りの環境や自然にも通じている大切なものだと学べます。だから水を汚さないようにしようねと、声掛けをしながら読んでみてはどうでしょう」
『しずくのぼうけん』
作:マリア・テルリコフスカ、絵:ボフダン・ブテンコ、訳:うちだ りさこ(福音書店)
対象年齢:4歳くらいから
自給自足の生活こそエコな暮らし
『ウエズレーの国』
『ウエズレーの国』
「大好きなものに囲まれ、好きなことをして過ごすウエズレー。あるとき、ひらめきます。何もかも自分でつくってみたらどうだろう。庭に育った植物に目を向け、実をくり抜いてコップにしたり、絞ってジュースにしたり。茎は糸にして洋服や帽子にしたり。
おままごとの延長のようなウエズレーの自給自足の生活に、小さな子どもはきっと憧れてしまうでしょう。工夫をすればなんでも自分でつくれるねと、親子で語り合うのも楽しそうです。こんな世界こそ、SDGsが目指すところではないでしょうか」
『ウエズレーの国』
作:ポール・フライシュマン、絵:ケビン・ホークス、訳:千葉茂樹(あすなろ書房)
対象年齢:7歳くらいから
▼こちらの記事もチェック!
< LGBT & 多様性が描かれた絵本8選 >親子で読みたい!