“平和”について描かれたおはなし
『へいわってすてきだね』
「与那国島に住む6歳の少年の詩に長谷川さんが絵を添えて出来上がった作品。子どもの目線から、“平和ってなんだろう”と純粋に考え、素直に答えていきます。のどかな景色、家族、友人、やさしい心。その言葉のひとつひとつが、私たちの心にストレートに届き、当たり前の日々の尊さに改めて気付かされます。平和について考える小学生にはもちろん、愛らしい生き物も登場するので小さい子にもおすすめです。すぐに理解できなくても、何度も繰り返し読んで聞かせていくうちに、あるいは何年かのときを経たときに、本当に大切なことへの理解が深まるはずです」
『へいわってすてきだね』
文:安里有生 絵:長谷川義史(ブロンズ新社)
対象年齢:5歳くらいから
『もっと おおきなたいほうを』
「王様は立派な大砲を持っていました。でも戦争がないので打てません。そこへ、川の向こうのキツネたちがサカナを取り始めます。王様は自分の好物を勝手に取られたと憤り、大砲を打ち上げます。するとキツネも負けてはいられません。双方はもっと大きな大砲をと競い合い、いがみあいはエスカレートしていきます。そのうちに突拍子もない展開に。戦争のおろかさを滑稽に描いたおはなし。ホッとする結末には、平和について改めて考えるきっかけになるでしょう」
『もっと おおきなたいほうを』
文・絵:二見正直(福音館書店)
対象年齢:3歳くらいから
『へいわとせんそう』
「Noritakeさんのシンプルな絵に、谷川俊太郎さんの淡々とした言葉を合わせた作品。『へいわのぼく、せんそうのぼく』、『へいわのうみ、せんそうのうみ』というように、同じテーマを扱い、左ページには平和、右ページには戦争の状態を載せて、比較できるようになっているつくりです。違いは一目瞭然。小さい子にもとてもわかりやすく、そのシンプルさがすばらしい。それでは、敵と味方の違いはなんでしょう? 年齢を重ねればさらに心に強く響くはずです」
『へいわとせんそう』
文:たにかわ しゅんたろう 絵:Noritake(ブロンズ新社)
対象年齢:3歳くらいから
『タケノコごはん』
「日本が戦争をしていたころ、主人公の男の子の学校には、けんかの強いさかいくんがいました。ある日、さかいくんのお父さんが戦場に行くことになり、そのうちに帰らぬ人となりますが、強いさかいくんは泣きません。でも、以前より意地悪になりました。しばらくすると、みんなが大好きな先生も出征することになります。お別れに、みんなでほかほかのタケノコごはんを食べます。みんなの想いは? そしてさかいくんは? 子どもながらに感じる、悲しみや怒りの入り混ざったやるせない想いと、ごはんのあたたかさのコントラストが身につまされます。何度も読むうちに子どもは、戦争の惨さをより深く理解していくことでしょう。映画監督の大島渚さんがご自身の体験から書かれたお話です」
『タケノコごはん』
文:大島 渚 絵:伊藤秀男(ポプラ社)
対象年齢:6歳くらいから
『おひさまとおつきさまのけんか』
「ある日、おひさまとおつきさまはけんかをしてしまいます。おつきさまの遅刻をちょっと叱ったおひさま。それに対しておつきさまは……。そのやりとりが次第にエスカレートし、周囲を巻き込んで、とうとう本当の戦争になってしまう、といった世界で起こっていることの縮尺図のような作品。結局、苦しむのは小さきもの。きっかけはほんとうに小さなことだったのに。馴染みのあるせなせいこさんの絵で、小さな子でもわかりやすいです。平和の大切さや戦争の悲しさを理解する導入本にぴったりの一冊」
『おひさまとおつきさまのけんか』
絵・文:せなけいこ(ポプラ社)
対象年齢:3歳くらいから
『ぼくがラーメンたべてるとき』
「ぼくがラーメンをいつものように食べているとき。その同じときに、おとなりでは? 地球の向こうでは? いったい何が起こっているでしょう。同じように穏やかに昼食をとっているでしょうか。いいえ。ある子は、子守りをし、ある子は働き、ある子は……。自分と同じ子どもでも、さまざまな状況がある。共感から、世界のさまざまな人や状況への想いを育み、想像力を広げ、平和を考えるきっかけとなるような作品。長谷川さんの短い文と元気のいい絵で、重たくなりがちなテーマも親しみやすくなっています」
『ぼくがラーメンたべてるとき』
絵・文:長谷川数史(教育画劇)
対象年齢:4歳くらいから
『てぶくろ』
「多くの子どもたちが親しんだ絵本。実はウクライナの昔話です。雪の積もる寒い森で、おじいさんがてぶくろを片方落としてしまいます。それを見つけた一匹のネズミは、中に潜り込みます。そこへカエルがやってきて、一緒に入れてもらい、つぎにウサギ、そのつぎにはキツネ、という具合にどんどん大きな動物たちがやってきて、てぶくろはぎゅうぎゅうになっていきます。いまにも弾けそうなてぶくろに、読み手もハラハラドキドキ。寒い外の空気とぬくぬくのてぶくろの中を想像すると楽しいです。こんなお話に親しんで、遠い国へと思いを馳せ、心を寄り添わせることができるといいですね」
『てぶくろ』
絵・文:エヴゲーニ・Mラチョフ 訳:うちだ りさこ(福音館書店)
対象年齢:3歳くらいから
『みんな なかよし けんかばし』
「とある村を東西に分ける川には、人々が行き来する橋がかかっています。そこでは大人も子どももいつもけんかばかり。それでもパン屋、鍛冶屋、靴屋、仕立て屋など、村にひとつしかない専門店に行くには、その橋を渡るしかありません。ところがある日、嵐で橋が流されて……。もうけんかをしなくて済むと人々は肩を撫で下ろしますが、ふと気付けばとんでもなく不便なことに。慌てふためいた人々はてんやわんや。愉快なドタバタ劇ですが、同時に争いの馬鹿馬鹿しさも痛感する作品です」
『みんな なかよし けんかばし』
文:ジョーン・オッペンハイム 絵:アリキ 訳:みき たく(童話館出版)※「童話館ぶっくくらぶ」という絵本の定期便を行っています。
対象年齢:5歳くらいから
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