デンマークに行こうと思ったきっかけ
子どもが産まれて日本の子育ての環境や政治に思うことがたくさん出てきました。
そして日本以外の国ってどうなんだろうと。
そのタイミングで『オランダの共生教育』という本(教育従事者の方はもちろん、そうでない方もおもしろいのでおすすめです)を読み、こんなにも日本と違うのか……!
とショックを受けるとともに、とても住んでみたくなりました。
調べていくと、友人が住んでいて出産前からずっと行きたいと思っていたデンマークも教育従事者の方が学びのために訪れていたり、すごく進んでいる印象だったので行くなら少し長く、観光というより実際に生活してみたいと思い始め、1ヵ月の滞在を決めました。
もともと親子留学に興味があったので、まずはその方面でリサーチ。
次に実際にデンマークに子連れで行っていた方をネットで探し、そこでたどり着いた方がとっても素敵な方で……
その方がデンマーク在住の日本人の方を紹介してくださり、その方もまたクールでとっても素敵で。いろいろ紹介やアテンドをしてくださって、そのおかげで1ヵ月内容がモリモリの学びの旅を実現することができました。
ちなみに、2歳3ヵ月になる息子の短期保育園を探しましたが、月齢が達していなかったり、空きがなかったりで、保育園には行けませんでした。
なのでずっと一緒です(笑)。
そして夫は1ヵ月も休めないので(全国民1ヵ月絶対休まないといけない社会にしたい)、最初の1週間は家族で、そのあとは息子とふたりでの滞在になりました。
最初の2週間はコペンハーゲンを観光、その後の2週間は保育園体験、ホームステイやフォルケホイスコーレの学校へ。
夫がいる間に行きたいところ全部に行こうと毎日電車を乗り継ぎ、足が筋肉痛になるほど歩き回りました。
息子はとにかく電車に興奮。最後まで毎度手を振って尊敬の眼差し。
その息子を撮る母と、母と息子を撮る父と
その様子を撮る知らない少年。
いい写真が撮れたから送るよ!
と少年に言われ、まだデンマークにきて2日目の私ははじめ警戒していましたが、とてもいい写真で、こんな風景撮ってもらえることがないのでありがたいなと思いました。
おすすめのスポット、子どもとの過ごし方
近代美術館『Louisiana Museum of Modern Art』
最初に向かった先は、とにかくおすすめなルイジアナ近代美術館。
コペンハーゲンから電車で北へ30分くらいのところにあります。
ルイジアナ近代美術館に向かう途中の道のり。
もともと個人宅だったという美術館の門をくぐります。
向かっている道中も素敵なお家がたくさんありました。
美術館は天気のいい日に行くのがおすすめです。もうなんと言っても庭園がすばらしい。
そしてデンマークの芝生がとにかく最高なんです。ずっとゴロゴロしていたくなります。
子どもたちが参加できるワークショップや工作できるところがたくさんあるそうなのですが、息子にはまだ早いように感じたので、地下に湖畔を見ながら絵の具で遊べる場所があると教えてもらい、行ってみると夢のような空間が。
早速お絵描きタイム。
ダンボールに描いた絵を乾かしていたのですが、持ち帰ることを忘れました(笑)。
美術館の中でランチタイム。キッズプレートを頼んだら……衝撃。色も形も可愛い!
ですが、生野菜に丸かじりリンゴにマフィン。
唯一マフィンがあってよかった(笑)。
これは生野菜を食べることや、リンゴ丸かじりができるようになるかもしれないと思っていたら、さすがの適応力で、数日後にはリンゴを何事もなく普通に丸かじりしていました。
ビールは1杯1,300円くらい!
子連れなのでゆっくりは見れないのですが、自然に溶け込んだようなアートがとても素敵で居心地がよく、最高にゆったりとした時間を過ごすことができました。
そして着いてから数日で感じたことは、ただ子どもを連れて歩いているだけで笑顔を向けてくれたり、デンマークに着いた日も電車を間違えて穴が開くほどマップを見ていた私たちに声をかけてくれて家近くまで案内してくれたり、息子に絵本をくれる駅員さんがいたり。写真を撮ってくれた少年もですが、まわりを見る心の余裕がとにかくある。
子どもにやさしい国だなぁと感じていました。
フードコート『Broens Street Food』
仕事終わりの友人と再会!
天気がいいから外で飲もうよ! とデンマーク人は日光溜め(?)をするらしく、晴れていると必ず外で太陽を浴びるそう。実際に晴れている日は日陰のお店には誰も入っていなかったりする。
この日は港近くにあり、賑わっているフードコートのような場所『Broens Street Food』で食べたいものをそれぞれ買って夕食。
5月のデンマークは夜9時頃まで明るいので、暗くならないと寝れない私たちは寝不足になりました。
ワインバー『Den Vandrette』
2軒目はワインバーへ。
こうやっていつも友人が行っているお店に一緒に行けることを嬉しく思いました。
ごはんを食べに行くときは必ず、遊べるもの、いつも食べている好きな常備食(息子の場合、リンゴジュース、パン、バナナ)はマストで持って行きました。日本でも同じですが、食べられるものがなくても替えが利くものを持っていると安心です。
そしてレストランへ行くと高確率でこのお絵描きセットを渡してくれました。色鉛筆は結構な割合で折れていたり出なかったりするけれど(笑)。
これはとてもいいなと思い、日本でもぜひ取り入れてほしいですね! 私もお店をやることはないですが、やるならこれは取り入れたい。それだけでも子連れが歓迎されている感じがします。
墓地『Assistens Kierkegaard』
そしてコペンハーゲンで何をしていたかというと、とにかく散歩をしていました。
散歩という時間って贅沢ですよね。過程を楽しめることが子どもって楽しそうだなと感じます。
ここは『Assistens Kierkegaard』という墓地。墓地を散歩って日本では馴染みがないけれど、とっても気持ちよくて、ピクニックをしている人も。
公園もユニークな遊具が多く、三輪車やミニカーなどが置いてあることも。息子はあらゆる公園の乗り物に夢中でした。ただの滑り台やブランコ、砂場で終わらせない、大人もワクワクするような楽しい公園が多くあり、遊具にこだわりを感じました。
世界各国の遊具がある『Superkilen』
こちらはNørrebro(ノアブロ)にある『Superkilen』という世界各国を象徴する遊具のある公園。Nørrebroはデンマークでも移民が多い場所のようですが、そもそも移民が少ないデンマーク。
人種の異なる人たちがお互いを認め合い、言葉を使わなくても交流の場所をつくっていけるようにと。そして自国をリスペクトして思い出せる場所にとつくられたそうです(ネット情報より)。
他にもタイのボクシングリング、モロッコの噴水、アメリカのバスケットリングなどがあり、遊びながら自国以外の国を知りたいと思わせる、おもしろい場所だなと思いました。
息子はタコの滑り台に夢中でした。ただ公園をつくるのではなくて、公共空間のデザインを通して社会問題について考えること、よい世界にしていこうというのは心を豊かにしてくれる、とてもいい取り組みだなと感じました。
野外博物館『The Open Air Museum』
子連れでここもぜひ訪れて欲しい『The Open Air Museum』という野外博物館。
1650年から1940年までの農場や田舎の建物を見たり中に入ったり体験できます。
大人はそれも楽しいのですが、それより(?)とても好きな場所がありました。
子どもたちが木の板で巨大なレゴのような家をつくったりできるエリアがあります。
ここが最高で、何時間でもいたい空間でした。
息子は小さい椅子のようなものをかろうじてつくっていました。
もうちょっと大きい子どもたちと一緒に来ていたのですが、本格的な家ができていてもう感動でした。子どもってすごい!
そしてもうひとつ、息子が離れなかったのが、ウサギに触れられる場所。
そこには太ったウサギが2匹。
最初は怖がっていて少しずつタッチ。それから草を食べさせたりお花を持ってきて食べさせたりよしよししたり。徐々に近づき最後はしっかりハグもできて、1時間くらいいたかもしれない。
とっても可愛がっていました。
閉園時間のギリギリまでいてしまい、ゆっくりのびのびしていたら最後まで回りきれずに終了。
ここのお土産ショップも可愛くて、息子に買った傘は私も息子もとってもお気に入りです。
そしてその他にもおすすめをいくつか。
マーケット『TorvehallerneKBH』
『TorvehallerneKBH』という、地元の新鮮な食材などが置いてあるおしゃれなマーケット。
息子と何度も行きました。高いですがいろんなものがあり見て回るだけでも楽しいです。
ここで食べたりテイクアウトしたり。
時期だったこのイチゴ、大きくて輝いている……!
友人とワインを飲んで喋っていたら、息子に全部食べられていて味は分かりませんでしたが。
恐らくすごくおいしかったことでしょう。
図書館『Copenhagen Central Library』
きっと日本の図書館とは違うだろうなと行ってみました。
デンマーク語の本が多かったですが、本はもちろん子どもが遊べる場所がたくさんありました。絵本劇の時間があったり。デンマーク語ですが参加してみました。
この遊び場で子どもをふたり連れたお父さんが話しかけてくれました。日本にも来たことがあるそうで、デンマークでは『お父さんと子ども』の組み合わせをよく見ると話していたら、共働きで同じように稼いでいるから家事も育児も平等であると。日本では同じ共働きでも、専業主婦でもまだまだ母の負担が多いように感じます。
トイレの標識のデザインも可愛い。
動物園へ行ったときも思ったのですが、過度な子どもデザインでないというか、看板もシンプルで好きでした。
ここはヒッピーの街、クリスチャニア。
駅を降りたときから雰囲気の違いが分かり、警戒体制(笑)。
ヴィーガンのお店『Morgenstedet』
友人と海辺をゆっくり散歩して、『Morgenstedet』というヴィーガンのお店でランチして素早く退散。
ここが本当においしくて、これを食べるためにまた行きたいと思ってしまうほど。
注意したいのが、このお店では現金のみしか使えません。ドイツに住んでいる友人と待ち合わせをしてここへ来て、まわりの安全確認をしながら(笑)ATMで現金を下ろしました(友人が)。
5月のデンマーク、気候がとにかくよくて、こうやって天気のいい日は仕事のあと外で軽く飲んでから、ごはんを食べに行ったりもするそうです。
パッと息子を見ると、友人のコートの上で靴を脱いでくつろいでいて笑いました。
日本人ですね。
そして『Magasin du Nord』という子どもグッズもたくさん売っている百貨店で、こちらのウサギさんから離れられず購入。
ウサギに触れてからすごく好きになり、ごはんをあげたり、オムツを履かせたり替えたり、自分がされていることと同じようにお世話をしていました(笑)。
あと他に、『BR』というオモチャ屋さんもよかったです。
そこでデンマークの救急車を買いました。保育園の仲のいい友だちにもここでお土産を。
写真はないですが、コペンハーゲンにはたくさんパン屋さんがあり、私が特に好きだったのは『JUNO THE BAKERY』のカルダモンパン。
また食べたいなぁ。息子も完食でした。
こちらは『Et cetra』というアジアンテイストなカフェ。ユニークなテイストで、おいしくて可愛いお店でした。
ごはんのテーブルにはいつも息子のミニカーが陳列。
隣の『Bageriet B』というパン屋さんもおいしくて混んでいました。
デンマークは物価が日本の2.5倍ほど高いので、私はお米を2キロほどと味噌、お出汁を持っていき、夜は自炊が多かったです。つくるものはほぼ日本と同じ。スーパーで買い物をする分には、ニンジンでも一袋の量が日本より多く入っていたりするので、高く感じませんでした。
到着して数日で日本食のありがたみを感じました。そして日本は外食が安いですね。
持って行ってよかったもの
ここで余談ですが、1週間が経ち少し慣れてきたところで夫は帰ってしまいます。
まさかの不安が募ったのか号泣(笑)。
そして夫が帰って1週間くらいしたところで、息子、まさかの水ぼうそうに……!
保育園で流行っていたんです。それはもう機嫌の悪い息子の対応をずっとするのは気がおかしくなりそうでしたが、とにかく元気になってよかった!
辛くて帰りのチケットを探したりしてました(笑)。
そして水ぼうそうですが日本の病院で事前に薬を処方してもらっていたので、それを飲ませました。
子どもの海外保険にはもちろん加入していましたが、日本のかかりつけ医で子どもは無料なので滞在日数分の薬をいろいろもらっておくことをおすすめします。
風邪薬、解熱剤、整腸剤、ケガをしたとき用にゲンタシン、などを処方してもらい持って行きました(親の分も)。とても正解だったと思います。
デンマークでは水ぼうそうくらいでは病院で診てもくれないそうです。風邪もそうですが、勝手に治ることのほうが多いのであまり病院に行かないようで、医療費が無料ということ、いいなと思っていましたがいろいろ考えさせられますね。
滞在していた場所、暮らしについて
こちらは滞在中に貸していただいたアパート。
デンマークらしい素敵なお家で、この中庭はアパートの方みんなが使える場所。
保育園や幼稚園に行く前の子どもや、夕方帰って来てからなど、私も家事をしながら息子は中庭で勝手に遊んでる、とか理想でしたが、そんなわけにはまったく行かず。どこへでもついてきます。
大人や子どもがそこで長テーブルを出し、ロウソクとお花を飾って食事を楽しんでいる様子もたまに見ました(写真奥)。
全部屋から中庭が見えますし、オートロックもかかっているので安心です。緑で覆われているところはゴミ置き場や洗濯物干しです。
日本の家は他人との距離をつくる設計の家が多く、ベランダも他者から見えないようになっているマンションや家が多い。
デンマークの家のベランダを見ても、みんなそれぞれでだれも他人にどう見られているかなんて気にしていない。
生活をするということをとても楽しんでいる感じがしました。
これって本来の人間らしさなのではないかと。
丁寧な暮らし、ともまた違うような。
父も母も夕方には帰ってきて子どもとの時間、家族との時間を何よりも大切にしている。
時間という、尊いものをとても大切にしている感じがしました。
そうできるのも税金は高いけれども、社会福祉に関わる財源すべてを税金で賄うことができているから、競走社会ではないのでみんな残業なしに帰って来れる環境があるからなのかなぁと沸々考えていました。
福祉が死ぬまでしっかりしているから日本のように、老後のために今がんばって働いたり、お金を貯めている人も少ない気がします。
日本ではいい教育はお金がないと受けることができない。
でも競走社会だからこそ今の日本があるとは思うので、それぞれの良し悪しはありますが、全員が平等に何歳になっても、貪欲に学ぶことができる社会になって欲しいと願います。
後編はそういった実際のデンマーク人の暮らしを体験するために自然豊かな郊外に行き、ホームステイ、保育園1日入園、動物性を一切使わないウェルビーイングを学ぶ学校(私の)に息子と行った体験を書けたらと思います。
またまた余談になりますが、石畳の歩道よりも自転車道のほうが舗装されていて広く、自転車が何よりも優先感があり自転車様な感じでした(笑)。
そしていわゆるママチャリは、前に子どもや大人、イヌが乗り、運ばれている様子がとっても可愛かったです。ちょっと乗りたかったですが夫に遠隔で止められました(笑)。
電車にも自転車が持ち込めますし、自転車、ベビーカー、車椅子の優先席がありました。
ちなみに駅のホームで宴会している人も結構見ました(笑)。
では、また次回も見に来ていただけたら嬉しいです。
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