「そうだ、今回は“ひとり”で京都、行こう」
家族と行く京都も大好きだけど、今回は、私だけの時間。
きっかけは「そうだ 京都、行こう。」で見つけた、自分の苗字と同じ「杉本家住宅」という文字でした。この偶然を合図に、初夏の京都へ。
出発前は「ひとりで楽しめるかな?」なんて少し思ったけど、そんな心配は家を一歩出た瞬間に消えちゃった(笑)。
ちょうど季節は、町やお寺が“夏のしつらえ”に衣替えする頃。
“誰にも急かされない時間”って、こんなに自分をリセットできるんだ……。
そう実感した、最高に贅沢な2日間。
DAY1|初夏の京都、奥深さに触れる
妙心寺 天球院
今回の旅で「これだから京都はやめられない!」と実感したのが、妙心寺。

正直、今までの旅ではノーマークだったお寺。でも、その門の奥に広がっていたのは想像を絶する光景でした。10万坪以上の敷地に、40を超える塔頭寺院……。有名な観光地だけじゃない、この計り知れない奥深さ。これぞ京都の魅力なんだと、改めて心を掴まれました。
初夏の生き生きとした緑は、見てるだけで自分も元気になる。

そして、私が完全にトリコになったのが、この襖絵!
通常非公開の方丈で出会った、狩野派の『竹に虎図襖』です。

見て、この虎!凛々しいのに、尻尾はなんとヒョウ柄。なんだかちょっと“ギャル味”があって、最高にかわいい(笑)。
ご住職によると、当時は日本に虎も豹もおらず、「虎のメスが豹だ」と考えられていたそう。そんな壮大な勘違いから生まれたなんて、面白すぎる!

ヒョウ柄の尻尾にじゃれつく子虎も、たまらなくキュートで……。
障壁画はレプリカも多く、間近でじっくり鑑賞OK。「本物はどれかな?」なんて宝探し気分で見るのも楽しかったな。
そして、この障壁画と美しい庭を眺めていた廊下で、私は静かな衝撃を受けます。

頭上の天井は、通称「血天井」。
【血天井とは?】
関ヶ原の戦いの前哨戦で、徳川家康の忠臣・鳥居元忠らが伏見城で自刃した際の床板。彼らの忠義に報いるため、供養として京都のお寺の天井などに移されたもの。
穏やかな庭の風景と、頭上にある壮絶な歴史。
ただ美しいだけじゃない物語を知ることで、心がきゅっと引き締まる。ひとり静かに歴史と向き合える、贅沢な時間でした。
常寂光寺

次に訪れたのは、青もみじの名所・常寂光寺。
ここは声を大にして言いたい。ママのひとり旅にこそ、全力でおすすめしたい場所!

正直に言うと、子連れには全くおすすめしません(笑)。どこまでも続く階段、階段……。
でも、だから良いんです。「ママ、もう帰ろー?」の声も聞こえない静寂のなか、自分のペースで緑のトンネルをのぼっていく。これぞ、プライスレス!

雨に濡れた苔は、まるでしっとりとした緑のベルベットのよう。

「苔庭パスポート」を片手に、苔の種類を探すっていう渋いミッションも、大人の自由研究みたいで夢中になりました。

手入れの行き届いた美しさを見るたび、「丁寧な暮らしとは、こういうことだよ」と京都に“喝”を入れられているような、清々しい気持ちに。
LE UN 鮒鶴京都鴨川リゾート
1日の締めくくりは、自分への最高のご褒美。
明治創業の元料亭旅館をリノベーションしたフレンチレストランへ。

見て、この外からも素敵な建物。中からは、窓の外に鴨川の美しい景色。元々畳座敷をリノベした空間で、歴史とモダンさを感じる空間がご褒美感を増してくれました。

そして、目の前には美しい一皿が、“私のためにだけ”運ばれてくる…。

いつもなら、3歳の娘に「ちゃんと座って!」「こぼしそうだよ!」と奮闘して、自分の料理に集中できないのが当たり前。そんな日常が嘘のような、静かで優雅な時間。

自分のペースで味わえる。ただ料理の美しさと美味しさだけに集中できる。

「あぁ、なんて贅沢…」
罪悪感なんて1ミリもない、ただただ幸せな気持ち。この時間のために、京都に来てよかった。
ダブルツリーbyヒルトン京都東山
贅沢なディナーの後は、今夜のお宿へ。
2023年に開業したばかりの「ダブルツリーbyヒルトン京都東山」は、新しくて気持ちのいい和モダンなホテルです。

そして、ぼーっとなんとなくテレビをつけたら、そこはディープな関西ローカルの世界(笑)。
『なるみ・岡村の過ぎるTV』の「乳首ドリル100人連続チャレンジ」を観て、「な、何だこれ……!」と、衝撃を受けながらも、おしゃれな和モダンホテルで、ひとり笑う夜。
この自由さ!くだらなさ!これぞ求めていた時間!
「あー、この衝撃を、今すぐ夫と息子に話したいなぁ」
「あー、この衝撃を、今すぐ夫と息子に話したいなぁ」
なんて思いながら、心地よい疲れとともに眠りにつきました。
DAY2|“私”に還る、自由な時間
翌朝の朝食ビュッフェも最高!

85種類以上のメニューから選べて、カリカリベーコンや、ミューズリーもあった!最高の2日目がスタート。

そして、ビュッフェの醍醐味といえば!シェフが目の前で作ってくれる、出来立ての卵料理! そう、あの私が好きなやつです!両面よく焼きの目玉焼きにしていただきました。
重要文化財 杉本家住宅
旅の2日目、私が一番楽しみにしていた場所へ。
今回の旅のきっかけになった、自分の苗字と同じ「杉本家住宅」です。

旅のハイライト、自分の苗字と同じ「杉本家住宅」へ。
一歩足を踏み入れると、ひんやりと涼やかな空気。町家全体が“夏のしつらえ”に衣替えしていました。

中でも心惹かれたのが、「布簾」という布張りの京襖。
ほんの少しの風でやさしく揺らぎ、目に涼を届けてくれます。しかも、その縁に使われている布は、なんと6代目の当主が着ていた着物を再利用したものだとか。モノを大切に、美しく使い続ける。そんな暮らしの哲学に、はっとさせられました。

庭の木々は、涼しさを演出するために、葉先まで手で剪定する。

ここは、京都の知恵と美意識が詰まった「生きた美術館」でした。

「ママだから」を言い訳に、自分のことを後回しにするのはよくない。
この旅でも、心からそう思えました。
行きたい場所には、自分で行く。
そのために仕事も子育ても頑張ってるんだから、当たり前のこととして堂々と楽しめばいいと思うのです。
まずは、自分の機嫌を自分でとって、ご機嫌な私でいることって、周りの人にとっても一番いいことだと思うから。
くだらないテレビでお腹を抱えて笑ったり、美味しいもので心を満たしたり。
そうやって自分のエネルギーを100%まで充電する時間って本当に大切。大切にしたい!
こんなひとり旅の楽しみを知ってしまったら、また次もどこか行きたい〜
次の楽しみのため、また毎日頑張るぞ!
※妙心寺 天球院・杉本家住宅では、取材のため特別に許可を得て撮影しています。二次利用及び転載禁止
※「苔庭パスポート」には、通常は表面にご利用可能日が入ります
※LE UN 鮒鶴京都鴨川リゾートのディナーは特別取材のため、通常のご提供メニューと異なります