食生活の基盤をつくる、薬膳ごはん
食生活の基本は、子どもが6歳くらいまでにつくられると言われている。「食材そのもののおいしさを感じられる食事を心がけていれば、子どもは自然とシンプルな食事が好みになります。子どもの頃に食の基本が身につけば、健康な体が生涯守られるはず。本来人間の体には、自分で治す力が備わっています。何かあったら医療に頼るのではなくて、日々自分の体の声に耳を傾け、不調のときにはそれに応えられるような食生活を意識してみてください」
また、薬膳と関係が深い旬の食材と風習を伝えることも、大人の重要な役割、と山田さん。「例えば春の山菜。苦手な子どもが多いですが、毎年春になったら山菜を食卓に出す。あまり子どもの好みに合わせすぎず、大人がおいしいと感じるものを食卓に出すことが大切です」
( 薬膳がわかるポイント 01 )
季節の食材を取り入れる
季節によって起こりやすい症状と、それを防いでくれる旬の食材を摂ることが、自然治癒力を高める「食養生」の基本。旬の食材は単においしいだけではなく、季節特有のトラブルを改善してくれる効能が期待できる。秋冬は、特に乾燥からくる不調が起こりやすい季節なので、体を潤す食材を積極的に取り入れることがおすすめ。
( 薬膳がわかるポイント 02 )
気候風土や体質に合わせた食事
四方を海に囲まれ、森林や川も多い“高温多湿”の気候風土で暮らす日本人の体質は、【胃腸が弱い】【冷えやすい】【腎臓に負担がかかりやすい】のが特徴。それをふまえた食事を摂ること。また、季節に合わせた過ごし方を心がけることが大切。例えば、冬は溜め込む季節なので、できるだけエネルギー消費を避けてゆっくり過ごす、など。
( 薬膳がわかるポイント 03 )
食材の働きを知る
すべての食材には何らかの働きがあり、体に入ったときに必ず作用をもたらす。薬膳では、「陰陽五行」という理論に基づいて、温や冷などの「五性」や、甘味や酸味などの「五味」をはじめ、食材を細かく分類している。まずは、体を冷やす・あたためるの「陰陽」と、五臓を補う「五味」の性質を理解すると、食生活に取り入れやすい。
※今回は五性(温熱平涼寒)を簡単に、陰(冷やす食材)と陽(あたためる食材)に分けている。