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濱中鮎子さん
〈Uhr〉ディレクター
大手セレクトショップに勤務後、2018年よりウェアブランド〈Uhr〉を立ち上げる。2021年からはキッズラインもスタート。夫は〈BEAMS〉の〈ピルグリム サーフ+サプライ〉のディレクターを務める泉貴之さん。
Instagram:
@ayukohamanaka
FAMILY:4人家族(パパ・ママ・長女4歳・次女1歳・猫14歳)
HOUSE TYPE:ヴィンテージマンション/リノベーション
HOUSE DETAIL:築50年/120㎡/3LDK+バルコニー
AREA:東京都
こだわりの住まいについて
大きな樹木に囲まれた空間で、
名作家具と豊かな家族時間を
「マンション内には区の保存樹林として指定されている大きなケヤキの木が何本もあって、夏は葉のおかげで涼しく、冬は葉が落ちることで太陽がたっぷり部屋の中に差し込みます」。濱中さん家族の住まいは、都会の喧騒から少し離れた場所にある、メゾネットタイプのヴィンテージマンション。バルコニーが3つもある、ちょっとユニークな物件だ。「バルコニーではチョーク遊びをしたり、夏はプールを出して遊んだり、公園に行く時間がなくても気軽にピクニック気分で食事を楽しめたり。家族の憩いの場として活躍しています」
インテリアはフォークアート、ミッドセンチュリー、北欧ヴィンテージなど、いろんなジャンルを自在にミックス。家具は時代を超えて愛されてきた、世界の名作を厳選している。「娘たちには小さな頃から家具は大切にするようにと言い聞かせています。なかには、夫が海外から持ち帰ってきた思い出の椅子も。『これ父ちゃんの大事な椅子だよ』と伝えると、『父ちゃんの大事?』と言いながらそっと座ってくれます(笑)。いい家具は暮らしが豊かになるし、将来資産にもなるので、子どもたちと一緒に大切に使い続けたいです」
LIVING
吹き抜け天井で、
のびのび気持ちいいリビング
窓の外に見えるダイナミックなケヤキの木と、ピンクのサーフボード、〈ジョージ・ネルソン〉のヴィンテージのバブルランプがアクセントのリビング。「今は子どもが小さいので、テーブルは置かず、走り回ったり、オモチャを広げて遊びやすいレイアウトにしています。リビングは夫婦ふたり暮らしの頃から、娘2人が生まれるまで、家族が過ごしやすいようにその都度アップデートしてきた思い出深い空間です」
天井高5〜6mのリビングでは、戸建てのような解放感を味わえる。上に見える小窓は子ども部屋につながっている。
〈Peter Hvidt & O.M.Nilsen〉の3人掛けソファは、チークの無垢材を贅沢に削り出したダイナミックなフレームが特徴的。「子どもたちがなにかこぼしてもすぐ洗えるように、また猫の爪研ぎ防止のためにもカバーは必須です」
バルコニーのテーマは、“ワイルドガーデン”。植物のチョイスは、ボタニカルブランド〈QUEPASADA〉の金子未由さんが担当。「きれいに整った植物よりも、少し枯れていたり、ちょっと曲がっていたり、ワイルドに生き生きと育つグリーンが好き。わが家のバルコニーは屋根がなく、植物にとってはなかなか過酷な環境なのですが、それでも育てやすいグリーンを試行錯誤して選んでもらっています」
〈ウェグナー〉のThe Chair は、濱中さん宅のシンボルチェア。「猫も子どもも平気で座っていますが(笑)、わが家にある名品です。家具はできる限り、価値の変わらないものを増やしていきたいです」
天然素材の柳を使用し、職人がハンドメイドでつくり上げたポーランド製のクラシカルな乳母車。「これは遊びに来る子どもたちみんなに大人気! 長女はこれにつかまりながら、はじめて歩けるようになりました」
ダイニングとリビングをつなぐ廊下には、〈Peter hvidt & Orla Molgaard Nielsen〉のヴィンテージブックシェルフが。棚上には“花”にまつわるものをディスプレイ。「娘ふたりとも名前に花がついているから、わが家にとって特別なモチーフ」。壁にかけている絵はtokunaga keiichiroさん(左)と、IZUMIDA LEEさん(右)の作品。
DINING
お気に入りの雑貨やアートに囲まれた、
家族と食事を楽しむダイニング
〈ジャン・プルーヴェ〉のダイニングセットと、ベニワレンのラグがかっこいいダイニングエリア。「わが家はリビングとダイニングが完全にセパレートしている間取り。リビングは遊んだりリラックスする場所、ダイニングは食事を家族と楽しむ場所。そうメリハリをつけることで、ダラダラ食べすることもありません」。子どもたちにとって食事が楽しみな時間になるように、小さな工夫もしているという濱中さん。「気分が上がるように、娘の好きな色の食器を選んだり、たまには新しいカトラリーを取り入れてみたり。人を招いてみんなで食事をするのも喜んでくれます」
〈Kai Kristiansen〉の大きな飾り棚には、いろんなテイストの雑貨や器をミックス。収納に悩む大皿は、スタンドを使って魅せるインテリアに。「飾っている白いお皿は、額賀章夫さんの笠間焼。オープンスタジオで購入しました。来客が多いわが家で大皿は必須です!」
棚の中段には、愛猫・チャイくんを迎えてから徐々に増えていったという猫雑貨も。可愛い黒猫のティーポットはイギリスのセラミック&ホームウェアブランド〈Otter Potter〉のもの。「手づくりなのでひとつひとつ表情が違うんです。割るのが怖くてお茶を淹れる勇気はなく、見て楽しんでいます(笑)」
チャイくんのごはんスペースは、可愛いラグがアクセント。左のカリカリの器は長崎の波佐見焼ブランド〈HASAMI〉のもので、右の水飲みボウルは、水をまろやかにしてくれる天然希土類など、さまざまな鉱石を含む鉱物とバイオセラミックスを焼成しつくられた器。さらなる健康づくりのために、医療分野で注目されている“テラヘルツ”の猫型セラミックプレートも併用。
濱中さん宅はどこの壁を見てもアートで賑やか。「主に友人のアーティストさんの作品や、美術館や展示会で購入したポスターなどを飾っています。ダイニングエリアには、Shawn StussyやSerena Mitnik-Miller、Russ Pope、Mayumi Yamaseなどファッションやスケート、サーフカルチャーに関係性の強いアーティストの作品を飾っています」
ぐんぐん成長しているダイナミックなセロームは、濱中さん宅のシンボルツリー。「水はあげすぎるよりも忘れるぐらいがちょうどいいそう。水やりを忘れがちな私と、とても相性のいい子なんです(笑)」
BEDROOM
名作ベッドがかっこいい!
アースカラーのリラックス空間
落ち着いた色味で統一されたベッドルーム。ベッドは〈ハンス J. ウェグナー〉のヴィンテージ。籐編みのベッドヘッドに、ナイトテーブルが付いたなかなか珍しいモデル。照明はもともとダイニングで使っていた〈ルイスポールセン〉のPH5。「寝室はあまり採光を必要としない空間なのでペンダントライトでも十分。今後はよりベッドまわりを充実させていきたいです」
保護猫で4歳の頃に迎えて、今は14歳になった愛猫・チャイくん。昼間の定位置はだれも来ない静かなベッドの上。「もともと猫カフェにいたチャイくん。のちに、持病があり集団生活ができないことがわかり、里親サイトに出されていたところを、私たちが引き取りました。今は持病も落ち着いています。爪を出したことも、シャーッとしたこともなくて、みんなから“神様”と呼ばれているほど穏やかな性格。娘たちが寝静まったあと、お腹を広げて甘えてくる姿がとても可愛いんです♡」
寝室の壁付け棚は〈アアルト〉。ポットはサンフランシスコの陶器ブランド〈HEATH CERAIMCS〉のもので、象のブックエンドもアメリカで購入したヴィンテージ品。「飾られている猫の絵はチャイ。これはイラストレーターの花井祐介さんに描いてもらいました」
ナイトテーブルに並ぶ3つのオブジェは、〈BEAMS〉のデザインとクラフトの橋渡しをテーマとするブランド〈fennica〉のこけし。「宮城のこけし作家さんに、昔あったデザインを復刻してつくってもらったもの。どこか北欧雑貨のような雰囲気もありますよね」
KIDS ROOM
親子でときめく、
ピンクの子ども部屋
「長女のマイブームはプリンセスやピンク色。ピンクのインテリアでも、年齢によって飽きてしまうものではなくて、親子で相談しながら長く使い続けられるものを選ぶようにしています。子ども部屋はあくまで、子どもたちが好きなもの、楽しいものを詰め込んだ空間にしたいですね」。インテリアには、メキシカンな要素もプラスしていて、ラグは白とピンクの配色が珍しいベニワレン。ベッドにかけているハートのキルトは〈SZ Blockprints〉のもの。チラッと見えるブルーのストライプの裏地も可愛い!
ベッドサイドテーブルは旦那さんがアメリカで購入し、どうにか持ち帰ってきたという思い出の品。「ここには娘たちの好きな花を飾っています。フラワーベースとして使っているのは、ワインのビン。夫がナチュールワイン好きで、エチケットが可愛いボトルはストックしています」
信じられないぐらいお値打ち価格で販売していたという、メキシコの民芸家具“エキパルベンチ”。「衝動買いしたもののずっと置き場所がなくて、ようやく子ども部屋で日の目を見ました!」。ソファの際にちょこんと顔を出す〈Manhattan Toy〉の猫のぬいぐるみや、〈イヴ・サン=ローラン〉のピンクのポスターも可愛い♡
サンタさんがプレゼントしてくれた子ども用キッチン。家具通販サイト〈わくわくランド〉でも手に入るもので、キッチンスタイルとカフェスタイル、どちらも楽しめる。「オモチャはできるだけ木製のものやリサイクル素材のもの、長く使えそうなものを選ぶようにしています」
いろんな布を組み合わせたキュートなカーテン。「可愛い生地を組み合わせて取り付けただけの簡単アイディア。花柄の布は大判のストールです」
『あたし、ねむれないの』(カイ・ベックマン作)は、姉妹揃って大好きな絵本。「人形と一緒じゃないと眠れない女の子が、次から次へとベッドに人形を連れてくるお話。絵も可愛くて、内容もおもしろいのでおすすめです!」
この静かな家で過ごすのどかな時間を大切にしたいと思えたことで、仕事中心の生活から、“生活の中に仕事がある感覚”でワークライフバランスを上手く保てるようになったと教えてくれた濱中さん。ジャンルミックスのインテリアコーディネートや、家具のセレクトなど、ぜひ参考にしてみてくださいね。
photography/Takanori Sasaki text/Runa Kitai illustration/Chika Osawa