profile
木村朱里さん
〈PALA〉ジュエリーデザイナー
独学で彫金を学び、2012年自身のジュエリーブランド〈PALA〉を立ち上げる。東銀座には直営店&アトリエである〈House of Pala〉もオープン。現在は自宅を建てたことを機に、インテリアコーディネートの依頼も増える。
Instagram:
@oliveseeds_
FAMILY:3人家族(朱里さん・パートナー・娘7歳・イヌ・トカゲ・カエル)
HOUSE TYPE:一軒家/注文
HOUSE DETAIL:築約2年/102㎡/5LDK
AREA:神奈川県横須賀市
こだわりの住まいについて
植物と生き物たちと、
自由気ままに暮らす
たくさんの植物に囲まれながら、イヌ、カエル、3匹のトカゲとにぎやかに暮らす、木村さん家族。「植物たちのために、朝日がたっぷり入る東南向きの大きな窓をリクエストしたリビングダイニング。住んでみたら人間にとっても、最高の朝を迎えられる空間でした」
壁や天井はヒノキを贅沢に使って、床は木とも相性のいいマーモリウムという天然素材をチョイス。浴室や仕事部屋は一面パープルにするなど、自由な発想で居心地のいい家づくりを追求している。「ほとんど扉がなく、どの空間もゆるやかにつながっているわが家。家にいるときは、みんなダイニングテーブルにいることが多くて、飽きたらギターを弾いたり、DJをしたり、思い思いの時間を楽しんでいます。キッチンの真上にある子ども部屋も、声は聞こえるけれど視線は気にならなくて、親子のいい距離感を育んでくれていますね」
住むまでは家のことで精一杯だったけれど、住んでみたら地域の魅力にもたくさん気付けたという木村さん。「横須賀には、海、山、川すべてあります。海は東京湾、相模湾、三浦方面に行けば城ヶ島もあって表情豊か。釣りをしたり、プライベートビーチを見つけるのも楽しみのひとつになりました!」
LIVING & DINING
家族が自然と集まる、
リビングダイニング
リビングダイニングの天井高はなんと6.5m! 大きなふたつの掃き出し窓からはたっぷり光が入って、植物もすくすく育つ。ヒノキ合板の壁には、アートをたくさん飾ってにぎやかに。「リビングダイニングにはテレビがないので、音楽を楽しむことが多いです」。インテリアのテーマは強いていうならミッドセンチュリー。最近は、アジアやアフリカテイストのものも増えてきている。「『これとこれ、合わせたらどうなるかな』と異色ミックスを日々研究しています」
もともと冬休み限定でつくったDJブース。「結構よかったので常設決定(笑)。パートナーと娘が一緒に回しています」。壁にはイスラム教の人たちがお祈りをするときに使うグリーンのヴィンテージラグや、オーストラリアのビーチタウンに住んでいた頃、木村さんがはじめて購入したアートなどを飾っている。「オーストラリアのアーティスト・SALLY WESTが、私の思い出のビーチに足を運んで描いてくれました」
大きなオットマンを置いた、コーナーのリラックススペース。壁には、アーティスト・中村桃子さんに描いてもらった娘さんの似顔絵や、引越し祝いに友人がプレゼントしてくれた刺しゅう作品など、お気に入りのアートを散りばめた。手前の異国感漂うスタンドライトは、傘はベトナムのお土産で、スタンド部分は神奈川県で何店舗かあるリサイクルショップ〈ワットマン〉で300円(!)でゲットしたもの。
娘さんがゲルハルト・リヒターの作品集を見ながら、アクリル絵の具で同じように描いてみた作品。「実はダンボールに描いているのですが、いい感じですよね♡」。額縁は行きつけの〈ワットマン〉で購入。「わが家の額縁はほとんど〈ワットマン〉で見つけたもの。いいものがあったらとりあえずストックしています」
“ベトナム”と名付けた、お手製のダイニングテーブル。「ベトナムの屋台にあるようなテーブルをイメージ。脚は足場板を組み合わせてL字に、天板は足場板の上にアルミ板を貼って、ヤスリで削ってラフに仕上げています」。後ろのカーテンの組み合わせも◎。「古着屋で売っていた可愛い端切れをリメイク。広げてみたら幅が足りなかったので、白いカーテンも組み合わせています」
丸太を削り出してつくられたワイルドな花台。「〈銀座三越〉で見つけたもので、破格の3万円でゲット。のびのび自由に育っているクリソカルディウムもお気に入りの子。光が当たると影も美しいんですよ」
中二階にはソファベッドのあるゲストルーム兼セカンドリビングが。「わが家はよく友だちが遊びに来てくれます。みんないい感じにだらだらリラックスしてくれるのが嬉しい!」
木村さんの友人でもあるアーティストユニット・K-NARF & SHOKOの作品。京都の中古カメラ屋で大量に見つけた持ち主不明の8mmフィルム。そこに収められていた60~70年代のいろんな家族の記憶を、生きた記憶として次の世代へ引き継ぐ『8mm away from Kyoto』というプロジェクトから生まれた。
GREEN & PET SPACE
のびのびマイペースな、
植物と生き物たちと暮らす
リビングダイニングのフォーカルポイントは、家を建てる段階から構想していた植物エリア。植物にたっぷり水をあげられるように、壁はここだけタイル張り。床は家の中すべて、ダンススタジオなどでよく使われている、水や汚れに強いマーモリウムを採用。壁上にはダクトレールも設置することで、植物ライトやサーキュレーターも吊るせる仕様に。「モンステラやウツボカズラ、ランなど、熱帯の植物が大好き。毎日気がついたときに霧吹きして、水をあげるのは週2回、ちゃんとしたメンテは3ヵ月に一度くらいでOK」。植物エリアの隣にある立派なチェストには、よく見るとトカゲやカエルたちの姿が……!
母から譲り受けたイタリアの100年もののアンティークチェスト。「どうしてもこの場所に置きたくて、泣く泣く上部を少しだけカット。背面の板も抜いて、ぴったりサイズに手直ししています」。チェストの中には、浅間山の溶岩に着生させたランやカエル、トカゲたちの姿が。「他のインテリアとも馴染むように生き物ゲージはチェストの中に入れてみました。金運の神様といわれているカエルのおかねちゃんと、フトアゴヒゲトカゲのジャックジャック、ヒョウモントカゲモドキのドロシーのお家です」
植物エリアの一角につくった、プチインドアガーデン。「浅めの大きな鉢植えをつくりました。ここには、ヘゴの木を固定して、シノブを着生させたり、湿気を好む植物たちを集めています。この前、拾ってきたどんぐりも植えてみたら自然と芽が出てきました!」
棚に針り金で固定している手のオブジェ。手のひらで育てているのはラン。「わが家はランだらけ。捨てられてしまう胡蝶蘭を個人的にレスキューしています。育てるのは超簡単で、葉っぱも可愛いし、根っこはダイナミック! ランは鉢を使わずに育てられるので自由度高くおすすめです」
人間もトカゲも大好きなフレンチブルドックのダーラちゃん(2歳)。この家の引き渡し日と同じ日に引き取ってきた。
デッドスペースになりがちな階段下はダーラちゃんのお家として活用。「柵を取り付けることで簡単ケージに。場所を取らずおすすめです」
KITCHEN
好きなものがギュッと詰まった、
コックピットのようなキッチン
約5㎡ほどのコンパクトなキッチンは、コックピットのように作業がしやすいL字型の配置に。「キッチン台は業務用キッチンのメーカー〈タニコー〉でシンプルなものをオーダー。一般家庭用でもミリ単位でオーダーを受け付けてくれます。キッチンの作業スペースは広ければ広いほど片付けるのが面倒になってしまうので、あえて小さめを希望しました」
〈名古屋モザイク〉のショールームまで行って選んだ、グリーンのキッチンタイル。「実はこのタイル、釉薬と見せかけてプリントなんです。とても時間がかかりましたが、母と一緒にがんばって貼りました。目地の色までこだわって塗っています」
食器やカトラリー類は、〈HAY〉のインディアンラックや、〈IKEA〉のアウトドア用収納庫、ボビーワゴンに収納。「気軽に模様替えができるように、わが家には備え付けの棚がありません。収納家具は他の場所でも使い回せるものを選ぶようにしています」。器の多くは地元のリサイクルショップ〈ワットマン〉で購入。
KIDS ROOM
お家遊びが好きになる!
居心地のいいキッズルーム
家のなかでいちばん景色のいい、2階のキッズルーム。開放的に感じる一方、屋根裏部屋のようなおこもり感もあり、子どもにはたまらない雰囲気。「2階の子ども部屋のデコレーションは、1階のリビングダイニングから見上げても意外と気になりません。わが家は壁も天井も木ベースで落ち着いた空間なので、子ども部屋はカラフルに可愛くつくってもいいかなと、たくさんにぎやかに飾っています」
キッチンの真上にあるキッズルーム。「吹き抜けでゆるやかにつながっているので、上下階で会話することもできます」。キッズルームの柵には落ちないように〈amazon〉で購入したネットも設置。
子ども部屋のおこもり感をさらに高めてくれる〈IKEA〉の天蓋カーテン。「色の多いわが家では、白いカーテンだけだとシンプルすぎたので、赤ちゃんのときに買った〈ボーネルンド〉の地球儀や〈フライングタイガー〉の飾りなどを組み合わせてにぎやかにアレンジしました」。手前のモンステラのライトは真鍮素材で、モロッコから取り寄せた。
夏休みの自由研究では、ジュエリーブランド〈OK Jewelry〉を立ち上げたという娘さん。「3Dペンと自然物をモチーフにリングやネックレスをつくっていました。さらに、パートナーが動画を撮って、音楽もつけて、プロモーションビデオまで制作。親も全乗っかりして楽しみました(笑)」
ベンチの上では近所の海で拾った貝や石、アクセサリーなどを娘さん自ら可愛くディスプレイ。
最近始めた趣味の編み物。はじめてにしてはちょっと難しい帽子にチャレンジ! 床に敷いている〈IKEA〉のグリーンのブランケットは、娘さんがお小遣いで購入したお気に入り。
子ども部屋の壁には、七五三記念に写真家・松岡一哲さんに撮ってもらった家族写真や、娘さんの作品が飾られている。
WASH & BATHROOM
シンプルで掃除もラクラク!
気分の上がるパープルバスルーム
バスルームは海外生活が長かった木村さんらしく、ユニットバスではなく造作でリクエスト。お風呂、シャワー、トイレを同じ空間にすることで、コストを抑えるとともに広々スペースに。「バスタブは排水管を直接繋いでいないので、気軽に動かして床も掃除できるし、ひっくり返して裏まで洗えます」。パープルの壁や床は、船の外壁などで使われるFRP塗料で塗装。「塗料の耐用年数は10年ほど。また10年経ったときに好きな色で塗ったり、タイル張りにしたり、雰囲気を変えるのも楽しみです!」。可愛いシャワーカーテンは、海外のハンドメイドアイテムが手に入る〈Etsy〉で購入。
植物の手入れもできるようにと実験シンクを採用した洗面所。カルテルのような鏡は〈IKEA〉で見つけたもの。「洗面所はこれからタイルを貼ったり、変化を楽しみたいスペースです」
タオル掛けはもともとジュエリースタンドとして販売していた陶器の手。おっぱい型の小物入れも可愛い。「鏡に置くと倍になるので、1個でよかったかも(笑)」
WORK SPACE
キュートを生み出す、
〈PALA〉の仕事部屋
玄関の隣に位置する、パープルが可愛い木村さんの仕事部屋。壁には娘さんが描いてくれた絵や〈PALA〉のポスター、デッサンなどがラフに飾られている。6㎡ほどのコンパクトな空間ながら、窓があったり、デスクの反対側には実験用のシンクも。「キャスター付きチェアのおかげで移動もラクラク。〈PALA〉のジュエリーは、ここと銀座のショップの2階でハンドメイドしています」
仕事場の床は汚れが目立ちにくいコンクリート。「ラグを敷いたりできない代わりに、自分でペイントしてみました!」
可愛いが詰まった木村さんの手元。〈PALA〉の指輪と500円くらいのリング、父の結婚指輪と母から借りている高級リングも組み合わせて。
細部にまで思い出の詰まった木村さん家族の住まい、いかがでしたか? マイホームを建てる際のポイントや、植物や動物とにぎやかに暮らすためのアイディアなど、ぜひ参考にしてみてくださいね。
photography/Eri Kawamura text/Runa Kitai illustration/Chika Osawa