この春のこと。
「フワフワしてる〜」と、咲き誇る桜が揺れるのを楽しそうに見上げ、はっきりと話し出す次女。
つい最近まで、曖昧な言葉を話していたのに、この数ヵ月でたくさんの言葉や接続詞を覚え、だんだんと家族と次女の間に“会話”が生まれるようになってきました。
同時に「すっごく嬉しいなあ」「ううん、もうおなかがいっぱいだから食べりぇないの」「ママ、いっしょにパジュル(パズル)であそぼう?」「ちょっと待ってね、これでまだ遊んでるきゃら(から)〜」など、思ったことや感じたことをたくさん伝えられるように。
聞き取れなかった可愛い宇宙人語の登場が少しずつ少なくなってしまうと、やっぱり寂しい。すくすくと育ってくれた喜びと、今よりも小さいわが子にはもう会えないという切なさが混在して、「小さかったわが子」と「今のわが子」のはざまに揺れながら、少し靄のかかった気持ちと向き合う日々も多かったです。
(大好きだった食後の挨拶「ごったまーた!」が「ごちそうさまでちた!」に変わってしまった瞬間は、胸がきゅーっとなってしまいました)
一方で、「寂しいと思うことさえも愛おしい」という温かい気持ちを感じていました。子どもたちと重ねてきた“時間”に、プレゼントしてもらったかのようにふと芽生えてきた、この気持ち。
例えるならば、夕日をぼーっと眺めているときの静かで穏やかな気持ちと少し似ています。
太陽が沈んでしまうのは名残惜しいけれど、明日また陽が昇ってくる安心感の中で、今日もありがとうと深く心から感謝するような……
子どもたちとの暮らしが始まり、行ったり来たり、戻ったりしながら、試行錯誤な毎日を振り返ると、目に浮かぶ思い出や過ごした時間が、ゆっくりゆっくり大きな愛おしさに変わり、寂しささえも今の私の支えになってくれているのかもしれません。
ただ、そう思う至福のときは一瞬で、ままならない日は相変わらず多い。
そんな日は、コーヒーやその時々で淹れたお茶や紅茶を片手に、菓子の甘さで自分の心を緩めたりしています。
パワー注入や気分転換の意味も含めて。
今年も新年度が始まり、長女は進級し、次女も新しい環境に少しずつ踏み出し、本当にせわしなく、ここまであっという間だった日々。
瞬く間に過ぎたこの春は、いつも以上に、さまざまなつくり手のおいしい菓子たちにたくさん癒されたので、今回のコラムでは、自身の心を緩めるおともにピッタリなおすすめの焼き菓子たちをご紹介していきたいと思います。
『菓子 瑞』@kashi_mizu
菓子瑞さんのお菓子づくりは、小麦粉アレルギーの姪御さんにおいしいお菓子を食べて欲しい。という思いから誕生しました。小麦粉も卵も使わず、地元の農家さんの無農薬の米粉に、出会った食材を使い、スパイスやハーブを加えて。
彼女のつくる菓子には揺るぎない深淵さがあり、一度食べたら忘れられません。食品管理ラベルには数種類の素材が明記してあり、試行錯誤された細やかな調合から、菓子を心から味わってもらいたいという強い意志を感じます。
『甘雨』@kan.u.fks
最近、とてもおいしくて、短期間に2回もお取り寄せしてしまった甘雨さんのクッキー缶。口の中でじんわりとやさしく広がる香ばしさと甘みの加減が心地よく、素材の組み合わせがきれいに調和してくれるので、食べ収めのタイミングを逃してしまうほど、そのおいしさに魅了されてしまいました。
「甘雨のお菓子が穏やかな日々の潤いとなり 愛おしく慈しみを感じるときとともにあって欲しい。そんな願いを持っています。わたしたちが本当に口にしたいと思う素材を選び ひとつひとつ丁寧につくっています。(一部抜粋)」
『HOBIBAKE』@hobi_bake
頬張った瞬間にじわーっと溶け込む濃厚な味に満たされ、一缶でさまざまに感じられる食感と味わいがとても贅沢です。味の余韻を大切にしているのが伝わるクッキーの詰め合わせ。少しずつ、少しずつ食べようと思うのだけれど、いつも一瞬。お家にあると子どもたちのテンションが上がる、親子で大好きな焼き菓子です。
『がんばっている自分のごHOBIに。大切な方とのワクワク楽しい時間のおともに。みなさまにとってやさしさ寄り添う、とっておきの「ごHOBI」となりますように。(HOBIBAKEコンセプトより)』
感受性が忙しかった春。
みなさまの春はいかがでしたか。
これから、すがすがしい青空が気持ちのよい季節がやってきますが、気圧や寒暖差の激しい毎日なので、どうぞご自愛ください。
ご自身の緩み時間のおともに、少しでもお役に立てますように。
Instagram:@la_boutique_uncinq