前回のコラムで、ロンドンでの賃貸物件の引っ越しトラブル(大家さんが退去を受け入れてくれず、残り半年分の家賃と、それに加えて次の入居者が決まるまでの家賃支払い(無限)の同意、ありえないリペア費用を請求された上に、敷金も返さないと言われた件)について書きましたが、
今回は後編として、どのように解決に至ったか?と、今後イギリスに移住を考えている方々に「ロンドン賃貸、借りるときに気をつけた方がいいポイント」を、まとめて書いておきたいと思います。

ということで、私が実際に5年前に体験したこのトラブル。
そもそもイギリスでは、こういった退去後にデポジット(敷金)を返さない大家さんがかなり多く、しょっちゅうモメるのだそうで。
そのまま、泣き寝入りという話もよく聞く。
なんてこった、と思いつつ、契約書をもう一度読んでいたら、どうやら契約時にデポジットを外部の管理機関に預け入れる仕組みになっていて、そこに入居時に振り込んでいたので、今回の件も大家や不動産業者と直接話さず、そこに正式に申し立てをすれば、その機関が判断し、デポジットの返金をしてくれるとわかった。
そのサービスのWebアカウントから契約情報を入力し、退去のタイミングやデポジット条件について照会、お互いからエビデンスを提出し、彼らにジャッジを委ね、結果を待つという流れに。
退去を伝えて4ヵ月、その申し立てをして2ヵ月。
ちょうど引っ越しの準備をしていたとき、判決文が届いた。

かなり長い判決文の結論には「契約書に退去について記載があるので、大家の言うペナルティ等は認められず、デポジットは契約者に返金する」と。
つまり、結局6ヵ月かかりましたが、無事に追加の支払いもなく、きっちり敷金は全額返金されました。

デポジットを預けるこの機関、めちゃめちゃ真っ当な仕事をしてくれていると驚いた。(真っ当な仕事が返ってくることに驚くのもどうかと思うが……それもひとつのイギリスあるあるで、笑)
特におぉおおと、感激した部分は「不動産屋が賃貸契約書に途中退去が無効だとする条項をはっきりと明記しなかったことに関しては、必然的に暗示されるのか故意によるものか不明だが、その場合は文書を起草しなかった人(つまり契約者)に有利に解釈されなければなりません」これやね。
フェアネス!
これを機に、不動産屋さんも契約書を書き改めるがいいよ。 やらなそうだが。

少しでもお金をとろうとしたのか、大家さんが私が壊してない備品についてまで、いろいろとすごい額を申告して請求してきたので、私も入居時、退去時に撮影しておいた写真をそれぞれ追加でアップロードした。
ジャッジ 「入居前と退去時の写真を見比べても、破損がない。例えばブラインドは通常5〜8年が寿命であることを考えると、自然に壊れることも想定でき、退去後に誰かが触れたか、そうじゃないにしろ契約者によるものだという証拠もないため、大家の請求を却下する」
などなど、虚偽の物件ダメージについても 次々と却下。
名探偵か、名奉行か……その両方か!
祝。

デポジットを返さない人が結構いることにも驚いたけど、何があるかわからないから、入居時に見落としてはいけないし、こうして守ってくれる機関も機能してるのだ、ということを知りました。
なので、日本でもやっておいても損はないと思うけど、ロンドンで物件を借りる際に絶対にしておいた方がよい3つのこと。
・契約前、退去について細かく確認する(時期、退去条件)。
・デポジットは、外部の機関に預ける形式になっているか?を確認。なってない場合は、希望を出すのがベター。
・入居した日、気になる場所をすべて写真に撮って、その日のうちに不動産屋さんと大家さんにメール添付で送って、記録をつくっておくこと (これは誰にも言われないので、自主的に)
デポジット機関から届いた長文の判決文を読んで、きちんと写真や文章を細かく見て、判断してくれたのだというのが伝わり、なかなか信用できるシステムだったのだな!と思いました。
デポジットで悩んでる人には、ぜひ契約書をもう一度よく読むようにおすすめしたい。もしかしたら、支払ったデポジットはすぐに戻ってくるかも知れないです。

ちなみに、退去日の指定で大家さんちにスイーツの詰め合わせを送っていて (友達にやりすぎだと笑われた) 、奥さんの方とは、普通にお礼のやりとりができていたので、自分的に心残りもありません。
攻撃してくる人には、より丁寧にやることをやるのみ。
家に住むというだけなのに、よくみんなこんないろいろ起きるなかで暮らせてるなぁ……予測不能な無駄ストレスが、まぁ次から次に。 家問題、賃貸しても、購入しても、問題は絶えないです。攻略難易度、高すぎ。
イギリス生活11年目、たくましくなります……まだまだ、サバイブ中!


















