絵本の読み聞かせは
言語の発達をサポート!
赤ちゃんは生まれてから1年かけて、言葉(母国語)の聞き分けができるようになっていきます。意味がわかる言葉を話すようになるのは1歳前後と言われていますが、生まれたときにはすでにまわりの大人が話す言葉をしっかり聞いています。ですから、この時期はたくさん話かけてあげることが大切。この話しかけるきっかけづくりに絵本はぴったり。
読み聞かせをすることで、赤ちゃんは言語をどんどんインプット。ママが赤ちゃんとコミュニケーションを取りながら読み聞かせをするほど、言語の発達レベルが高くなるという研究もあるほど!※ 言語の発達をサポートする以外にも、集中力が高まったり社会性が育まれたりするなど、赤ちゃんにとって好ましい影響をもたらすことがわかっています。
※今福理博・五藤沙耶. (2022). 幼児における紙絵本・デジタル絵本経験と言語・社会性発達. 人間学研究論集, 11, 23-32.
生後、いつ頃から
読み聞かせをしたらいいの?
赤ちゃんは6ヵ月ごろに相手の目をコミュニケーションに重要なものとして認識。アイコンタクトを行うなどの社会的なコミュニケーション能力が芽生えるため、読み聞かせの際にママが絵本に視線を向けると、赤ちゃんも絵本に目を向けたり、ママを見たりするようになります。9ヵ月ごろからは、自分・他者・ものとの3つの関係がわかるように。絵本に描かれているものを指でさしたり、指をさしたときに「〇〇だよ」と言ってあげることで、言葉を覚えていきます。
赤ちゃんに読み聞かせをしても理解できているの? と思う方もいるかもしれませんが、言語をインプットするという観点から言えば、生後すぐから言葉は聞こえているもの。理解しているしていないに関わらず、読み聞かせは生まれてすぐからはじめてもいいのです。コミュニケーション能力が発達してくる6ヵ月頃からスタートするのでも、もちろん構いません。
どうして動画じゃだめなの?
赤ちゃんは大人が話していることを見て真似て、言語をどんどん獲得していきます。つまり、赤ちゃんが言語を獲得する過程で大切なのは、まわりとのコミュニケーションなのです。動画を見せるだけでは、コミュニケーションは生まれませんよね。一方的にただ音だけが流れているだけでは、言語の獲得にはつながらないのです。
いっぽう読み聞かせは、「これは何かな?」「これはどうかな?」と、赤ちゃんとコミュニケーションをとることができます。1、2歳ごろの言葉が発達していく時期には、動画よりも絵本の読み聞かせの方がおすすめです。
専門家が教える!
絵本の読み聞かせのポイント
「わんわん」「ねんね」などの赤ちゃん向けの言葉を発するときに、対乳児発話(マザリーズ)と呼ばれる、ゆっくりとしたテンポで抑揚をつけて読むことが、赤ちゃんが喜ぶポイントです。絵本を読む際の言葉かけにも、ぜひこの発話を取り入れてみましょう。
ほかには、コミュニケーションをとることも大切。赤ちゃんの目をみて、絵を指さしながら読んであげましょう。このときに、親が一方的に情報を与えるのは避けたいところ。例えば、赤ちゃんに「〇〇はどこかな?」と聞いても反応がない場合、すぐに答えを教えてしまいがちですが、赤ちゃん自身が指をさしたり言葉を発するまで、ゆっくり待ってあげることも大切です。
- 1赤ちゃんが好む話し方で読む
- 2テンポはゆっくり、抑揚はたっぷりつける
- 3赤ちゃんと絵本を交互に見ながら読む
- 4絵本を指さしながら読む
- 5赤ちゃんの自主性を大切にする
赤ちゃんへの絵本、
いったいどれを選んだらいいの?
月齢や年齢に合った文章量やページ数のものを選びましょう。1歳前後であれば集中力が長く続かないので、10ページ前後がおすすめ。短い単語や日常生活に馴染みのある絵が描かれているものであれば、「パンはどれかな?」「ワンワンはどこにいるかな?」と、コミュニケーションをとりながら読み聞かせができます。他には、子どもに選んでもらうのも面白いですよ。絵本をいくつか見せて「どれがいいかな?」と聞くと、意外な絵本を指さすことがあります。
今福先生のおすすめ絵本6選
絵本は、赤ちゃんが言葉をインプットするために最適なアイテムであるとともに、親とのコミュニケーションツールでもあります。絵本を読むことで、赤ちゃんとの豊かなつながりも育んでくれるはずです。