育児エッセイ #01
『大丈夫。今日も生きている』
田尾沙織
カメラマン田尾沙織さんの息子・奏ちゃんは妊娠25週、わずか500gで生まれた。戸惑いのなか、医師から告げられたのは「72時間が山で、それを乗り越えてもまだいくつもの山があり、どうなるかわからない」ということ。さまざまな病気のリスクをかかえながら、NICU(新生児集中治療管理室)、GCU(回復治療室)を経て、無事に退院するまでの256日間が日記形式で、奏ちゃんの写真とともに綴られる。次々に押し寄せる不安や後悔と向き合いながら、「生きている時間が残り少ないとしたら、産まれた事実を残してあげたい」と生きる希望に変えて、日々シャッターを切り続けた田尾さんと奏ちゃんの命の記録。
『大丈夫。今日も生きている』
田尾沙織/ 赤ちゃんとママ社刊
http://shop.akamama.co.jp/shopdetail/000000000891/
育児エッセイ #02
『きみは赤ちゃん』
川上未映子
35歳で初めての出産を経験した、芥川賞作家・川上未映子さん。妊娠検査薬で陽性反応が出た瞬間から、長男の通称・オニくんが1歳の誕生日を迎えるまで、至難の連続を綴った一冊。つわり期を「胃から食道にかけて、すわっすわのものがやってきて」と独特な表現をしたり、観察眼が光るエピソードは読みごたえたっぷり。まるでジェットコースターのように、日々めまぐるしく変化する妊娠・出産時のリアルな身体と心情、ありのまま描かれる痛みや苦しみにママの共感の声が多数。ときには笑いながらぐんぐんと読み進め、オニくんへの愛を語るラストには涙が止まらない。
『きみは赤ちゃん』
川上未映子/文春文庫刊
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167908577
育児エッセイ #03
『母ではなくて、親になる』
山崎ナオコーラ
37歳で第一子を産んだ人気作家・山崎ナオコーラさんの、新しい感覚の出産・子育てエッセイ。流産や妊活、健診、保育園落選など、子どもが1歳になるまでのエピソードを通し、驚きや喜びをありのまま綴る。著者は「お産ではなく手術」や「(子どもと親の)似ているところは探さない」とあえて記すことで、わが子への愛情を家族内だけで完結させず、これから子どもが待ち受けるだろう広い世界や社会に目を向け、多様性を重んじることの大切さを教えてくれる。社会やジェンダーのステレオタイプな考え方にとらわれ窮屈な気持ちを抱えている人を、やさしく解放してくれるはず。
『母ではなくて、親になる』
山崎ナオコーラ/河出文庫刊
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309417370/
育児エッセイ #04
『すべて、こども中心。』
齋藤紘良
東京・町田市にある保育園『しぜんの国保育園』の理事長・齋藤紘良さんによる初著書。ミュージシャンとしても活躍し、独自のアプローチがメディアでも注目を集める著者の目線から、子どもが主体性を持ちのびのび育っていくためのヒントをひも解き、子どもがいる暮らしをより楽しむための新しい視点について語る。「読み聞かせやアートに触れることって大切?」などの子育て世代の悩みや疑問にも丁寧に答えている。これからの子どものための社会を考え、「自分らしい親になりたい」と願うすべてのパパとママに読んでもらいたい参考書。
『すべて、こども中心。しぜんの国保育園から知る、 こどもの主体性を大切にしながら家族が豊かに暮らす方法』
しぜんの国保育園 齋藤紘良/KADOKAWA刊
https://www.kadokawa.co.jp/product/321909000776
育児エッセイ #05
『そういうふうにできている』
さくらももこ
故・さくらももこさんによる超ロングセラーの育児エッセイ。「この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる……!」と著者らしい言葉でスタートを切る。多忙を極めるなか妊娠発覚し、バカバカしいギャグを考えて乗り切ろうとしたどん底のつわり期、便秘との壮絶な戦いなど、笑いあり涙ありの十月十日が描かれる。エッセイの締めくくりでは「全ての現象の現れはそれがそういう状態になるように、そういうふうにできているということだ」とタイトルの由来が語られる。妊娠・出産時のあまりに激しすぎる身体や心の変化や、どうにもならないことを楽に受け入れ、前向きになれる一冊。
『そういうふうにできている』
さくらももこ/新潮社刊
https://www.shinchosha.co.jp/book/138821/
育児エッセイ #06
『へそまがり』
菊池亜希子
女優&モデルの菊池亜希子さんによる、雑誌『リンネル』での人気連載エッセイが待望の書籍化。結婚、出産、子育て……人生の転機が次々に訪れるなか、不安な気持ちと正直に向き合いながら、著者らしい丁寧な言葉で、かけがえのない日常がやさしく紡がれる。出産後のリアルな心境を書いた「3人になった日」ほか、娘さん(通称・イコ坊)や旦那さん、家族とのエピソードの数々に、ときにくすっと笑い、ときにほろりと涙をこぼし、読み終わった後はあたたかい気持ちになること必至。ファッションの話や、昔の思い出話なども収録されており、ちょっと息抜きしたいときのお供におすすめ。
『へそまがり』
菊池亜希子/宝島社刊
https://tkj.jp/book/?cd=TD003034
育児エッセイ #07
『懺悔日記』
藤田あみい
漫画家でエッセイストの藤田あみいさんが、娘の発達に疑いを持ってしまったことをきっかけに、インターネットに溢れるさまざまな情報の渦に巻き込まれ、深刻な産後うつ、加えて強迫性障害を発症。壮絶な苦しみと再生、娘さんへの愛溢れる2年半の記録した、ママ向けWEBサイト「Hanakoママweb」での人気連載が一冊に。飾り気なく、淡々と描かれる日常はやけにリアルで共感の嵐。巻末に収録された「子育てがつらいと感じたら 産後ママのためのヘルプガイド」も必読。「つらいときは無理せず、人に頼っていい」と、そっと寄り添ってくれる。
『懺悔日記 子どもの愛し方を知るまで』
藤田あみい/マガジンハウス刊
https://magazineworld.jp/books/paper/2982/
育児エッセイ #08
『ヨチヨチ父』
ヨシタケシンスケ/
人気絵本作家・ヨシタケシンスケさんによる、「パパ目線の初めての育児」をテーマに綴ったイラストエッセイ。子育てがひと段落した著書が、“パパのトホホな日常”を振り返り、育児における父親と母親の差を、ユーモアたっぷり、時にはちょっぴり切なく描く。赤ちゃんとママの絆の強さにどこか疎外感を感じてしまったり、ママの強さを感じたり、ママの気持ちがわからない苦しみ、多くの戸惑い……。パパが読んだら、「そうそう~!」と思わず共感してしまうはず。壮絶な毎日の裏でパパが密かに感じていたことに、ママは新発見もあるかも。
『ヨチヨチ父 -とまどう日々-』
ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社刊
http://shop.akamama.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000000812&search=%A5%E8%A5%B7%A5%BF%A5%B1&sort=
育児エッセイ #09
『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』
大平一枝
作家でエッセイスト、2人の子どもを育てる大平一枝さんによる17年間の子育ての記録。WEBサイト『北欧、暮らしの道具店』やアサヒコムなどでの連載を中心に、子どもの年齢順にまとめられたもの。「どんなに失敗したって、少々手抜きしたって子どもは勝手に育っていく」「あんまりがんばりすぎず、正しいお母さんを目指しすぎないでいい」「自分流でいい」と、著者のおおらかでやさしい言葉で、毎日奮闘するママたちへエール送る。他人と比べてしまい「自分はダメだなぁ」とがっかりしてしまったときに手に取りたい一冊。
『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく―母業23年つれづれ日記』
大平一枝/大和書房刊
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b376127.html
育児エッセイ #10
『れもん、うむもん!』
はるな檸檬
漫画家・はるな檸檬さんが「泣いているお母さんの横で、肩を抱いて一緒に泣くようなものを描きたい」と、自身の妊娠発覚から出産後の育児までを描いたエッセイ漫画。つわりに始まり、分娩、母乳。思うようにならない自分の身体と心、小さな命を預かることへの緊張など……共感すること間違いなし。出産、育児の言葉にできない大変さにやさしく寄り添ってくれる一冊。お医者さんとの会話や、妊娠期の状況など、とても細やかに描かれているので、プレママに役に立つ情報も多数。
『れもん、うむもん!――そして、ママになる――』
はるな檸檬/新潮社刊
https://www.shinchosha.co.jp/book/336512/