小さい子どもでも
ストレスを抱えるもの?
子どものストレス、と聞くと、勉強が忙しくなり友達関係も複雑になっていく、小学生以上の子どもが抱えるものだと思われがちですが、小さい子どもでもストレスは抱えるものです。とくに未就学児は、子ども同士で言いたいことを言い合いますし、喧嘩して手が出ちゃうことも日常茶飯事。子どもの日常生活のあるあるですが、次の日にケロッと忘れることもあれば、そのときの精神状態によっては、ストレスになってしまうこともあるのです。
他には、大人がまわりの子どもと比べたり、やりたくないことを無理にさせたり、仕事が忙しいときに、自分もがんばっているからがんばってよ、といった過剰な期待もストレスに。
子どもは負荷がかかると、それを解消するためにいたずらをしてしまうことがあります。そのいたずらに対して大人が怒り、さらにいたずらをする……、という悪循環に陥ることも。大人と同じように、子どもも子どもなりにストレスを抱えるということを、まずは知っておきましょう。
腸と脳はつながっている。
ストレスでお腹が痛くなることも。
「お腹が痛くて保育園に行けない……」。昨日の夜まで元気だったのに朝になるとお腹が痛いと訴える。これが続くと、「本当に痛いの?」「ただ行きたくないだけじゃないの?」「冷たいものの食べすぎ?」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
実はこの腹痛にも、ストレスが大きく関わっているのです。腸と脳は実は密接に関わりあっていて、これを“腸脳相関”と言います。近年、このメカニズムが解明され、あるホルモンが腹痛に影響していることがわかってきました。ストレスがかかるとこのホルモンが放出され、脳から胃や腸の働きに関係する司令が出ます。すると、胃と十二指腸の働きが抑えられ、腸の働きだけが活発に。腸の動きだけが過剰になってしまうため、お腹の痛みや不快感として現れるのです。
ひどくなると下痢を起こしてしまうことも。つまり、ストレスでもお腹が痛くなることがあり、子どもが「お腹が痛い」と言うときは、本当に痛くなっているのです。
お腹が痛くなったときの
対処法は?
ストレスによるお腹の痛みで効果的なのは、お腹をさすって大人の手の温もりで温めてあげること。腸の血流がよくなり痛みが和らいでいくものです。痛みが出たときに、気持ちの問題じゃないの? 気のせいでしょ? 本当は痛くないんじゃないの? と疑ってしまうと、痛みが継続してしまうことも。
先ほども説明したように、腸と脳はつながっているのです。ストレスが腹痛となって現れているので、子どもから親へのメッセージと捉えて、受け止めてあげましょう。朝の慌ただしい時間など、忙しくてお腹をさすってあげられないときは、お腹に毛布か何かをかけてあげて、「寝てていいよ」などの声かけをしてあげるだけでも、気持ちが和らぐものです。
ただし、お腹の痛みが治まらない、痛みがどんどん強くなる、顔が青ざめる、下痢がひどいなど、これらの症状が現れた場合は、ストレスではなく他に原因があるので、すぐに病院を受診しましょう。
子どもがストレスを
抱えているときのサインは?
未就学児の場合はとくに、何がストレスになっているのかが、うまく伝えられませんよね。ですから、大人がサインに気づいてあげることが大切です。
<ストレスを抱えているときのサイン>
- お腹が痛くなる
- 笑わなくなる
- 集中力がなくなる
- 遊びが続かなくなる
- 食欲がなくなる
- 夜中に目を覚ましたり睡眠が乱れる
子どもは些細なことで笑ったり、夢中になるとずっと遊び続けたりするものですよね。ですが、ストレスがかかると「何をしても楽しくない」という気持ちに傾いていきますから、笑顔が少なくなり、集中力が低下し、遊びが続かなくなってしまいます。いつもより食べなくなったり、夜中に目を覚まして泣いたりするのも、ストレスが原因になっていると考えられます。
ストレスのサインに
気づいたときの対処法は?
まず、その日のストレスを和らげるには、たっぷりお話をしたり、寝る前に何もしないゴロゴロする時間をつくったりして、気持ちをゆるめてあげるのがおすすめです。お腹が痛いなどの、ストレスを抱えているときのサインが現れたときは、可能であれば1日しっかり休ませてあげましょう。好きなことを思い切りさせると、気持ちが和らいでいくものなので、休日にたっぷり遊んであげるのでもOK。
仕事がどうしても休めないときに限って保育園や幼稚園に行きたがらないこともありますよね。そのときは、「行きたくないよね。でも今日はどうしてもお仕事でお休みできないから、頑張って行ってくれたら嬉しいな」という風に、子どもの「行きたくない」「したくない」という気持ちを受け止めてあげましょう。
さらに、「帰ってきたら○○食べようね、○○して遊ぼうね」といった、楽しいことをイメージできるような声かけもいいでしょう。一般的に「物で釣るのはよくない」と言われますが、自分のことを大事に思ってくれていることを伝えるうえで、楽しいことをイメージさせるのは決して悪いことではありません。
ただし、毎日続けてしまうと習慣化してしまうので、大人がどこか区切りをつけることは必要です。子どももある程度満足したり、ストレスが緩和されると、大人が楽しいことをイメージさせなくても、自分で切り替えができるようになっていくものです。
子どもが子どもなりのストレスの対処法を見つけ、「がんばったらできた」「今日は行けた」という成功体験を積み重ねることによって、さまざまなストレスに対処する力がついていくのです。
子どものストレスを和らげる
おすすめの書籍4選
小さい子どもだって、大人と同じようにストレスを抱えるもの。けれど、それを言葉で上手に伝えられるようになるのは、まだまだ先。だからこそ大人が気づいて適切に対処してあげることが大切です。子ども自身がストレスへの対処法を見つけることは、自己肯定感が芽生えるきっかけになるのです。