嘘がテーマの絵本 01 ダメな嘘といい嘘について考えよう 『うそ』
「嘘をつくのはいけないこと。でも、嘘をついていない人っているのかな? という疑問から導かれる『嘘』についてのやさしい分析絵本。お母さんは、25歳っていうけど、本当は……。お父さんが総理大臣だっていう友達がいるけど……。じっくり考えてみると、ときには本当のことを言わないでいる必要もあるかもしれません。そんなふうに考えを巡らしてみると、無駄に嘘はつかなくなるのかもしれませんね。中川ヒロタカさんのテンポのいい文とミロコマチコさんのダイナミックな絵が大変魅力の作品です」
嘘がテーマの絵本 02 嘘をついた少年の末路は……? 『オオカミがきた』
「蜂飼耳さんによるスタイリッシュなイソップ絵本シリーズの一冊。羊飼いの少年が、退屈のあまりいたずらを思いつきます。村人たちを驚かしてやろう。『オオカミがきた! 』とありもしないことを叫びます。慌てふためく村人たちの姿をおもしろがった少年は、たびたび同じ嘘をつきます。するとある日、本当にオオカミが現れ……。助けを求めますが、どうでしょうか? あの有名なお話を、短い文でわかりやすく語り、嘘をつくと飛んだ目にあうということを力強く感じます。子どもに一度は読んで聞かせてあげたい作品。ささめやゆきさんの絵もユニークでインパクトがあります」
嘘がテーマの絵本 03 失敗を誰かに押し付ける姿は大人も共感できる 『コップをわったねずみくん』
「お馴染ロングセラー、ねずみくんの絵本シリーズの一冊。あるとき、ねずみくんがうっかりコップを割ってしまいます。どうしよう、お母さんに叱られちゃう。そこで思いついたのが、ほかの誰かのせいにしてしまうこと。ゾウさんの長い鼻、それともアシカくんの得意技のせいにしてしまおうか……。動物たちのそれぞれの個性を言い訳に、あれこれ嘘を考えてみます。でも、上手くいくのでしょうか。正直になるほうがずっといい。そんな気持ちにさせてくれる可愛らしい作品です」
嘘がテーマの絵本 04 嘘がバレてしまう瞬間をユーモラスに表現 『おしゃべりなたまごやき』
「王様シリーズで最も有名なお話。ある日、王様は鍵がささったままの小屋を開け、ニワトリたちを逃がしてしまいます。すると思いのほか、大騒ぎに。兵隊たちが出動し、犯人探しが始まります。王様は自分だとバレないよう、一羽のメンドリに秘密を守るよう伝えます。でもなんだか気まずい。そんな矢先、メンドリが産んだタマゴのタマゴ焼きにナイフを入れると……。思いがけない出来事が! シュールなタイトルの訳もわかります。嘘は結局はバレますよ、ということを、意外な展開と素晴らしいユーモアで描いたロングセラー中のロングセラーです」
嘘がテーマの絵本 05 嘘がバレたらどんな気持ちになるかな? 『あたし、うそついちゃった』
「思わず嘘をついてしまうことってありますよね。小さなものが大好きな子ギツネのルース。学校でふと見つけた小さなカメラが欲しくてたまらなくなり、自分のものだと言ってしまいます。さあどうなるでしょう。嘘をついてしまうまでの経緯をじっくり子ども目線で描写していて、愛らしいと同時にとても現実的。そして後悔している様子も丁寧に描かれています。そういう気持ちになるよねと、共感のオンパレードです。自分に置き換えてみやすいので、嘘はよくないよねと親子で頷き合いたくなるでしょう」
嘘がテーマの絵本 06 虚言癖のあるラリーのお話 『ラリーはうそつき』
「ラリーはいつも嘘ばっかりついています。宿題はやってもいないのに、『やっている』。嘘をついているのに、『ついていない』。思いついたお話をしているだけと言い訳をしたりも。そして『じゃあね』と言い捨てどこかへ行ってしまいます。そんなことを続けていると……。ラリーは本当はお友達とどうしたら仲良くなれるかを探っているのかもしれません。子どものちょっとした困りごとに寄り添い、どうしたら上手くみんなと楽しく過ごせるか、親子で一緒に考えることのできる作品です。ロバのような主人公の姿にも、思わずクスッとしてしまいますよ」
嘘がテーマの絵本 07 嘘をついた罪悪感をユニークに表現 『ぞうになったうそ』
「サッカーが得意なぼくがボールを蹴って遊んでいたら、とある拍子にお家の窓ガラスを割ってしまいます。お父さんはカンカン。あまりの剣幕に慄いてしまったぼくは、本当のことが言えず、妹のせいに。でも、なんだか気持ちが落ち着きません。そのうちにおなかのあたりが重たくなって、歩けば今度は背中がずっしりとして苦しい。大きなゾウが乗っているみたい。どうしよう……。嘘が生み出す苦しさを、大きなゾウに例えて物語っています。そしてあっという間に『ゾウ』が消える魔法の言葉も。素敵なベルギーの作品です」
嘘がテーマの絵本 08 小さな嘘が大ごとに! 『ゆっくとすっく うそはちくちく』
「『こんなときってなんていう?』シリーズで知られる仲良しのゆっくとすっくの一冊。ふたりが楽しく遊んでいるところに、木からサルが落ちてきました。サルは、恥ずかしいという思いが強く出て、思わず嘘をついてしまいます。小さな嘘だったはずが、あれあれ? だんだん大ごとになっていって、サルは引き下がれなくなってしまいます。心がチクチクしてなんだか嫌な気分。恥ずかしいと思う気持ちをどう消化するか。だんだんと周りの目が気なる年頃に、ぴったりのやさしいお話です」