食育がテーマの絵本 01 お口に入った食べ物がたどる道を楽しく解説 『たべもののたび』
「食べものがお口の中に入ったあと、いったいお腹のなかでどんな旅をするのでしょう? 黄色い栄養かばんを持った食べ物たちは、口のトンネル、広い胃袋公園、小腸ジェットコースター、など、子どもの遊び場に見立てた消化器官を経て、どこでどう栄養になり、どう排泄されるのか。その様子を身近な言葉で遊びのように説明しています。見えない体の中に興味を持った小さいお子さんはもちろん、高学年での学習にも役立つはず。ずっと読み継がれている『かこさとしからだの本』シリーズの第2巻。です・ます調の日本語も美しいです」
食育がテーマの絵本 02
食べ物の音に着目してみよう
『おいしい おと』
「幼児期、そろそろおはしを使う子もいるでしょう。ますます食べ物に興味を持つ時期に、ちょっと目を閉じて聞いてみましょう。白ごはん、ワカメ、プチトマトにカボチャ。今お口に入れたものは、どんな音がするかしら? カコッ ホッ カル カル……。ポホッ モワーン ムッチ ムッチ……。ああ、ほんと! 食べ物が口の中で響かせるリアルな音に納得。読み手は少しばかり練習が必要かもしれませんが、愉快な音も子どもたちは大好き! 楽しくなって食欲も湧きやすい。三宮麻由子さんにしか描けない聴覚の世界が素晴らしい作品です」
食育がテーマの絵本 03 苦手なものを工夫して食べるお話 『ぜったいたべないからね』
「野菜どころか、お肉もパンも、何にも食べてくれない、という子もいるでしょう。偏食を無理に直そうとするのはよくないと言われていますが、ちょっとしたきっかけで食べてくれるのなら、それに越したことはありません。まずは、この作品でお試しあれ。こちらの女の子、偏食ぶりは半端ありません! お兄さんも呆れるほどに、ニンジンや豆はもとより、子どもが好きそうなソーセージもバナナも、絶対食べないからね、と言い張るんです。そこで、賢いお兄さんは、とある戦略を思いつきます。さあ、頑固な妹は? そしてこれを読んだお子さんは? 写真と絵のコラージュがユニークで、ウィットに富んだ素敵な作品です」
食育がテーマの絵本 04 食器と仲良くなれば食欲アップ!? 『おさじさん』
「赤ちゃんに食べさせるのはひと苦労。お口をきっちりすぼめたままだったり、そっぽむかれたり、最後にはスプーンを弾かれたり。そんなときにぜひ! おやまをこえて、のはらをこえて……、姿を現したのは『おさじさん』。可愛いうさぎさんの『ぼく』のところにやってきます。小さい子が、無理なく食に関心を向けられるよう、やさしく、楽しくお話が進んでいきます。作者の言葉は声がけのヒントになるので、ぜひ試してみてはいかがでしょう。もしかしたら、自分も同じものを持っている、と誇らしげに『myおさじ』を見せてくれるかも? 松谷みよ子さんの赤ちゃん向け絵本シリーズ一冊です」
食育がテーマの絵本 05 食と体の関係について学べる! 『はらぺこさん』
「お腹がすいて、ぺっこぺこ! そんな『はらぺこさん』になるときって、どんなとき? たくさん遊んだあとや、おいしい匂いをかいだとき。そうなるとパワーが出なくなったり、気持ちが悪くなることもありますよね。みんなの気持ちに寄り添ったあと、頭の中にある『のう』の仕組みや、体が燃料を必要として動いていることなど、科学的な説明を小さい子向けに砕いて書いてくれています。食欲そそるコロッケや餃子、お友達の笑顔などの写真も織り込んで飽きさせません。いわゆる『おねえさん』ぽくない『おねえさん』や、お料理するお父さんなども、手垢がつかない所以でしょう」
食育がテーマの絵本 06 食べ物の役割を簡単な言葉で解説 『もったいないばあさんの いただきます』
「絵本界の名物ばあさんといえばこの人です! 『もったいないばあさん』シリーズの『もったいないばあさんの いただきます』は、食べ物を粗末にするといつもの頑固ばあさん口調で、『もったいない』と、子どもたちに戒めてくれる一冊。『じょうぶになるよ』『おおきくそだつよ』『きもちよくすごせるよ』と、ギロリ。ビタミン、タンパク質、ミネラルなど、栄養学の基本となる食べ物の役割を小さい子に簡単な言葉で伝えてくれます。ばあさんに睨まれながらも、その姿にほっこりするのも魅力です」
食育がテーマの絵本 07 さまざまな種類の野菜を知ることができる 『おやおや、おやさい』
「『きょうは いよいよ マラソンたいかい』! だれが競争するのかと思いきや、野菜たち。ピーマン、トマト、ニンジン、といったお馴染み野菜だけでなく、ニンニク、パセリ、ラディッシュなどなど、いろいろな種類が登場します。『りっぱな パセリは つっぱしる』。『ラディッシュ だんだん ダッシュする』。それぞれの名称にゴロを合わせて、競技に参加する姿をリズミカルに書き出しているのがとても愉快です。野菜自体の絵もリアルなのにお茶目。さまざまな野菜に親しめ、語彙もどんどん増えるでしょう。さあ、意外や意外? 一等はだれでしょう! 」
食育がテーマの絵本 08 ダイズを使った食べ物が繰り広げる愉快なお話 『ヘルシーせんたい ダイズレンジャー』
「ここはダイズの畑が広がる『いそふらのくに』。みんな健康に暮らしていた矢先、とつぜん殿様からの変なおふれが!『だいずきんしれい』です。人々は困り果てました。そこでわれらの力をみせてやる! とダイズたちは戦士の姿に変身し、ダイズ由来の食べ物がどんなにおいしいか知らしめようとします。栄養素を時代劇風の戦隊モノ化した、おもしろ絵本。おいしそうな、納豆、きなこ、ユバ、がんもを見るうちに食欲もそそられ、食べ物の名称も豊富に。イソフラボンやプロテインといったちょっと難しい用語も覚えられ、その役目もちゃんと理解できるでしょう。そして、殿様は……? お楽しみです」
食育がテーマの絵本 09 調理される生き物への感謝が生まれる! 『おすしやさんにいらっしゃい! 生きものが食べものになるまで』
「お魚好き、お寿司好きにはこれ! 寿司職人による、こだわりの食育写真絵本。自分で魚を釣り、自分でさばき、最後はお寿司にして、さあ召し上がれ! 生き物が食べ物になるまでのプロセスを子どもたちと一緒に楽しく体験します。キンメダイ、アナゴ、イカと、それぞれ生き物としての特徴も説明してくれ、驚きや発見もある展開で、食物連鎖も理解できる内容です。おもしろさがあり、食欲もそそられ、自分が生きていくために、たくさん命をもらっているという大切な学びがあり、さらには感謝の気持ちへと導いてくれます」
食育がテーマの絵本 10 心躍るカラフルな色使いが魅力的 『ボードブック はらぺこあおむし』
「赤ちゃんも惹きつけられる、何度読んでも飽きない名作中の名作。心躍るカラフルな色使い。簡単な数の感覚への導入。野菜や果物への興味。掻き立てられる食べることへの意欲。どきどきする仕掛け。はっとするサプライズ。どこをとっても素晴らしい。小さい子が何度も楽しめるよう、ページが痛みにくく、持ち歩ける小型のボードブック版がおすすめですが、少し大きくなったらより色彩が美しい大型版で、子どもにじっくりエリック・カールワールドに浸らせてみてはどうでしょうか」