
Instagram:凜さん@uenrn/優さん@imu_0218
FAMILY:3人家族(パパ・ママ・長女0歳)
HOUSE TYPE:一軒家/賃貸
HOUSE DETAIL:居住歴1年/90㎡/2LDK
AREA:神奈川県

こだわりの住まいについて

洗練されていながら落ち着く
ブティックホテルのような住まい
一年前、都内から神奈川の町へ越した上野さん一家。都会の刺激と、田舎の余白。心地いいバランスを探るなかで今の住まいに出会いました。定期借家の一軒家は、オーナーさんの所有物である家具や収納を残しつつ、ふたりの感性で集めた家具や小物を加えた独創的な空間。一歩足を踏み入れた瞬間「なんだか心地いい」と感じるのは、ブティックホテルのさまざまなデザインやアートディレクションに関わってきたふたりがつくる住まいだから。洗練されていながら、肩肘はらず、心地よくいられる。そんな空間が叶っています。
「ホテルには衣食住すべての要素が詰まっていて、まさに “暮らし” の集約。そこに関わってきた経験は自分たちの暮らしにも活かされています」(優さん)。「壁が白く、天井は高く、余白の多いところがこの家の魅力。そこにどんな要素を加えたら全体が心地よくなるか、想像しながら手を入れていくことに楽しみを感じます」(凜さん)
LIVING

季節に合わせてトーンを変える
“時間”を楽しむリビング
2階にあるリビングルームは、「ゆっくりすること」を軸にしたリラックス空間。ゆったりしたソファや椅子、ローテーブルに、凜さんこだわりの音響機器にプロジェクター、時間を楽しむ要素があちこちにあります。「この間まではピンク色の掛け軸を壁にかけ、花をたくさん飾り春らしくしていました。今は夏なので涼しげに見えるよう、すっきりしたトーンに。季節ごとにテーマを決めて模様替えをすると、気分転換になります」(優さん)

ソファは〈arflex〉のmarenco。白のボディがインテリアのトーンに調和する。もっちりしたクッションの質感は、娘の天ちゃんもお気に入り。

ソファと反対側の壁際にあるサイドボードは〈IKEA〉。扉つきで目隠しになるので、オモチャやクレヨンなどの細々した遊び道具、着替えを収納する。手前のグリーンのローテーブルは、凜さんが友人とともにデザインから施工までを手がけたオリジナル。

テレビの代わりに〈Aladdin Marca〉のプロジェクターを導入。ソファに腰掛け、壁に映して映画や動画を楽しむ。「超単焦点の接写型プロジェクターなので、誤って子どもの目に光源が入らない設計になっているところや、インテリアの邪魔をしない控えめなデザインが魅力です」(凜さん)

ダイニングの椅子と同じブランド〈doriade〉のmarumaruチェア。「中心の穴にちょうど娘がおさまって(笑)、今はつかまり立ちの練習にもなっています」(優さん)

ホテル勤務時代にはラウンジのBGMを担当していたほど、音楽好きの凜さん。ダイニングルームにも音響設備が充実している。「スピーカーは〈JBL〉のMODEL 4312 M II。コンポは〈YAMAHA〉のR-N602。娘はコンポのつまみや〈Teenage engineering〉のボタンをいじって遊ぶのが最近のお気に入りです(笑)」(凜さん)
KIDS SPACE

長く使うことを前提に
妥協せず選んだキッズスペース
1階のダイニング横に設けられたキッズスペース。つかまり立ちを始めた天ちゃんのために新たに取り付けたサークルは〈LITTLE BOT BABY〉のもの。プレイマットと柵の色を住まいのベースである白形のトーンに合わせることで、インテリアに馴染む。「子どものものは成長に合わせて使わなくなることが多いですが、とはいえ“とりあえず”で揃えず、長く使いたいと思える納得のいくものを見つけるまで吟味しています」(優さん)

新生児の頃にベビーベッドとして使っていた〈Hippo + Birds〉のクーファン。今はぬいぐるみや絵本の収納に活用。家具や寝具など大きなものは、ひとつの用途が終わってもまた別の使い道を見つけられるような、余白のあるデザインのものを意識して選ぶ。

オモチャはやわらかな色合いで、手触りがよく、天然素材のものが好み。〈ラドガグレ〉の木のオモチャなど、海外のものを愛用する。

「絵本はいくらあってもいい」と優さん。「お気に入りは〈エルメス〉の絵本。ものづくりに共感するブランドのひとつで、内容もとてもいいんです。それから『もこ もこ もこ』を手がける元永定正さんの絵本も好き。グラフィックを仕事にする身としても勉強になります」(優さん)

ベンチ兼ブックシェルフとして使うのは、凜さんがアートディレクションを手がけるブランド〈SOUI and KUFU(ソウイアンドクフ)〉のベンチ。「足と棚板の色のバリエーションがいくつかあり、インテリアに合わせて選べます。組み立ても、足に棚板をはめるだけ。とてもシンプルな構造です」(凜さん)

2階のリビングルームにも、小さなキッズスペースを用意。ベビーネストはポーランドのファブリックブランド〈COTTON AND SWEEYS〉で購入。生まれたばかりの頃は簡易のベビーベッドとしても使っていた。
WORK SPACE

コンパクトでも
充実度は満点のワークスペース
2階の角部分にあたる2.5畳ほどのスペースにコンパクトな机を置き、凜さんのワークスペースに。革張りのワークチェアは〈IKEA〉、デスクランプは〈TWINBIRD〉のヴィンテージ。ポストモダンライクなデザインがお気に入り。

昇降式のデスクはAmazonで購入。「階下にある暖炉の柱の都合で奥行き50cm以内のデスクを探していて、ぴったりのものに巡り合えました。シンプルで機能的、重宝しています」(凜さん)

デスク横のサイドテーブルは、キッズスペースのベンチと同じ〈SOUI and KUFU(ソウイアンドクフ)〉。同じく足と棚板の組み合わせが選べる。
KITCHEN&PANTRY

実用品はすべてしまって
いつ見てもすっきりしたキッチン
動きやすいコンパクトなキッチンは、料理担当の優さんがメインで管理するスペース。最低限の道具だけを表に出しています。「扉付きの収納がキッチン下に充実しているので、台所道具や食器は基本的にすべてなかへ。散らかって見えるのが嫌で、できるだけすっきりした見た目を維持しています」(優さん)

食器もキッチン下に収納。食卓をにぎやかに彩るカラフルなものや、シンプルながら遊び心のあるものが好み。特に陶器のコレクションが多く、アートピースのようなデザインのものは、キッチンのディスプレイにも活かしている。

赤いまな板はNYにある、大好きなセレクトショップ〈Fredericks & Mae〉で購入。個性的なデザインが可愛い、左上の白と黒のマグカップは〈HARLIE BROWN STUDIO〉。

凜さんが『YO』として主宰した初の作品展で知り合った、陶芸作家・片瀬和宏さんの美しい器たち。「片瀬さんの色彩感覚には自分と通じるものがあり、絶妙な色使いがとても気に入っています」(凜さん)
DINING

木素材のナチュラルな空間を
ブラックや和の要素で引き締める
ブラウンの家具でまとめられ落ち着いた雰囲気のダイニング。テーブル、照明、椅子は、オーナーの使用していた家具をそのまま引き継いだもの。シンプルな空間のなかにブラックの家具や雑貨、和の照明などふたりの個性が光ります。「もともと住んでいたオーナーさんの好みはアウトドアテイストで、木目調の家具や薪ストーブ、ハンモックなどが今も残っています。そこにモダンな家具や雑貨を置くことで、自分たち好みの雰囲気を加えました」(凜さん)

壁際に置いた〈doriade〉のローリーポーリー アームチェアは、優さんお気に入りの椅子。デザインが個性的なチェアは、腰掛けるだけでなく、ただそこにあるだけでインテリアに華を添える。上に飾られたポスターは、凜さんのデザインしたオリジナル。

2階まで吹き抜けの空間を生かして、高い天井から吊られているのは、大きな〈イサム・ノグチ〉のAKARI。

ダイニングからリビングへ続く階段に飾られている家族写真は、アンティークショップで購入した丸いフレームに、優さんのネックレスのストラップを取り付けて、吊るしたもの。
CLOSET

1年分の幅をひと部屋に
夫婦共有のクローゼット
広さ6畳ほどのウォークインクローゼットは、この家がお気に入りの理由のひとつ。ふたりとも服好きで、とくにヴィンテージショップの1点ものを探すのが好き。昔から少しずつ集めてきた服が1年分おさまる十分な容量です。「昔から柄物や華やかな色の服が好きですが、夫の手持ちは無地が多め。気分に合わせて夫の服を借りることもあるので、あえて夫婦のしまい場所は分けずにいます」(優さん)

掛ける収納はワンピースやシャツなど、シワになりやすい衣類がメイン。伸びやすいニットはたたんで上段に、インナーやボトムスは下段の引き出しにおさめています。

ワンピースやニットにバッグ、スカーフ。手持ちの衣類のなかには、花柄がとても多いとか。「母が花の先生をしていて、いつも花が家にあったからかもしれません。私にとっては、身につけると気持ちが明るくなる要素です」(優さん)。どこか和風の趣があるハンドバッグは、ロンドンへ遊びに行った際にヴィンテージショップで購入したもの。
心地よい空間を追求しながらものを探し、ときに自分で手を動かし、創作していく住まい。子どもが生まれてからもそのスタンスは変わらず、むしろより楽しくなっているとおふたりは話します。
「長くクリエイティブに携わる仕事をしてきましたが、妊娠、出産、子育てという体験は未知なる発見の連続。もしかしたらこれまでで一番、神秘的でクリエイティブな仕事ができているのではないかと思う日々です。子どもとともに生きるなかで生まれる、暮らしやデザインのアイディアは、これからの仕事にも、多大なる影響を与えてくれるだろうと思います」(優さん)
































