そもそも「上の子可愛くない症候群」ってなあに?
下の子が生まれときや手がかかってきたときに、お兄ちゃんやお姉ちゃんが可愛いと思えなくなる経験、ありませんか? 「上の子可愛くない症候群」は、上の子が可愛くないと思ったり、そこから生じるさまざまな行動や状態のことを指します。このような感情を抱くと罪悪感を抱くママパパは少なくありませんが、実はこの感情、ごくごく自然に生まれるものなのです。
上の子どもに対して、こんな経験ありませんか?
・叱る回数が多くなっている
・知らず知らずのうちに無視してしまう
・上の子からの言葉に対して応答しないことが増えてきた
・気づくと睨んでいる
・笑顔を向けるのは大切だと思いながら笑顔が向けられない
・行動にイライラしがち
・思わず手が出そうになることがある
当てはまる方は、「上の子可愛くない症候群」に陥ってる可能性があります。それでは、どうしてこのような状態に陥ってしまうのでしょうか。
上の子可愛くない症候群に
陥ってしまう理由は?
理由1
生物学的特性上、幼い子どもほど可愛く見える
赤ちゃんの特徴として、体に対して頭が大きい、目と目の間が広い、鼻と口が小さく頬がふくらんでいる、体がふっくらしている、動作がぎこちないなどがありますよね。赤ちゃんはこの生物学的特性によって、大人が自然と可愛いと思えるようにできていて、手を差し伸べたいという気持ちを引き出しています。人間だけでなく、犬や猫の赤ちゃんも同じ。生まれてすぐにひとりでは生きられない赤ちゃんが、大人による愛情行動を引き起こす、生存のための能力といえます。つまり、上の子よりも、下の子の方をより可愛いと思ってしまうのは当然のことなのです。
理由2
下の子に手がかかり、気持ちに余裕がなくなる
下の子は上の子に比べて、どうしても手がかかるもの。お世話が大変になって親の気持ちに余裕がなくなったときに、上の子が手がかかるようなことしてきたら、誰だってイラッとしてしまうものですよね。しかも、子どもはすごく敏感ですから、下の子ばかりが注目されていると、上の子は承認欲求が高まり、赤ちゃん返りをして、さらに手がかかってしまうという悪循環に。
理由3
上の子に対する要求の水準が高くなる
成長するにつれてできることが増えると、自然と親側の要求水準は高まります。「もう3歳なんだからひとりでできるでしょ」「お兄ちゃんなんだからわがまま言わないの」のようにです。また、自己主張をするようにもなり、話せる言葉も増えるので、親の言動に対して反抗することも多くなるでしょう。冷静なときは、成長として捉えられるのですが、余裕のないときに赤ちゃんのような言動をとられたり反抗されたりすると、イラッとしたりカチンとくるものです。
理由4
自分と性格が違い理解できない
「なんでこんなにわがまま言うの?」「なんでこんなことするんだろう?」「もうわけわかんない!」。自分と子どものタイプが違うことも、「可愛くない」と感じる原因のひとつ。子どもに対して違和感を覚えることもあるでしょう。ほかには、自分の幼少体験から子どもの性格を理解しようとして、それに当てはまらなくなるとイライラしてしまったり。子どもの個性はさまざまですし、親と子どもは別の人間。理解できなくて当然なのです。
理由5
育児を完璧にこなそうとする
育児を頑張りすぎている方や、完璧にこなしたいと思っている方は、「可愛くない症候群」に陥りやすいかもしれません。子どもが思い通りにならないと許せないわけです。「いい加減にしなさい」「自分はこんなに頑張っているのに」ときつく当たってしまうことも。ワンオペ育児によってお世話の負担が偏りすぎている場合も、気持ちに余裕がなくなりがちなので、子どもに対してイライラすることが増えるでしょう。
このように、さまざまな要因があるため、子育てをしていれば「誰にでも起こりうる、ごく自然なこと」であると考えられます。ですが、悪循環に陥ると、手が出てしまったり、大きな問題に発展しかねません。
どうやって切り抜ければいいの?
それでは、「可愛くない」と感じたときに、どうすればいいのでしょうか。
1
ストレスが溜まっていませんか?
「子どもが可愛くない」と感じるときは、何かしらのストレスが溜まっている可能性があります。一歩立ち止まって冷静になり「ワンオペ育児で疲れていないか」「子育てを頑張りすぎていないか」と自分を振り返り、ストレスが溜まっている現状を認識することが必要です。
2
気持ちをリセットする機会をつくりましょう
休日は子どもをパパにまかせて、カフェでまったりしたり映画鑑賞をしたり。私もそうでしたが、一度リセットして自分を振り返る機会をつくると、新たに子どもと出会い直すことができるんです。やさしい眼差しが向けられたり、あたたかい言葉がかけられたり……。子ども側からしたら「可愛くない」「見るのも嫌だ」なんて言われたりすることほど、辛いものはありませんよね。大人もそうではありませんか? でも子どもは逃げ場がないのです。ですから、可愛くないと思ってしまうことは自然なことですが、そう思ったときは、気持ちを仕切り直すことが大切です。
3
親の欲求を抑えつけないで!
とくに赤ちゃんをお世話するときは、自分の欲求は阻止されがち。行きたいときにトイレ行けない、眠りたいときに眠れない、温かいものを温かいうちに食べられない。ごく普通に満たしている欲求を満たせなくなり、我慢せざるを得ない場面が増えて……。その上、上の子があーだこーだと反抗的な態度をとってきたら、可愛いと思う方が難しいでしょう。子育てにおいて、すべての欲求を抑える必要はありません。時間を見つけて、自分の好きなことをすることも、子育てをするうえで必要不可欠です。
4
自分の気持ちを誰かに話すことも大切
愚痴を言ったり相談したり、育児をするにあたってストレスを発散することは必要です! 家庭間で発散できない場合は、子育て支援員の方を頼ってみたり、保育園や幼稚園に通っていれば、保育士さんに相談してみるのもいいかもしれません。雑談のつもりで気軽に話してみましょう。人間は自分の感情に気づきにくく、誰かに話して相手が鏡としての機能を果たしてくれることによって、自分というものに気づくもの。すると、解決策が見つかったり、思い悩んでいたことがクリアになったりするものです。
5
子どもを褒めてあげましょう
可愛く思えないからといって、微笑みひとつかけず、理解の言葉すら一切かけなければ、子どもはさらに反抗的になるでしょう。すると親のイライラがさらに募り悪循環に陥ります。これを断ち切るには、子どもの欲求を満たしてあげること。ある程度成長すると、「自分を見てほしい」「言葉をかけてほしい」といった、承認欲求が高まります。可愛いと思えない中でも何か褒めることを見つけ、1日1回でも褒めるだけで、子どもの欲求は満たされます。「いいうんち出たね」「ごはんいっぱい食べたね」「ピーマン食べられたね」など些細なことでOK。子どもの気持ちを満たして、お互いの心が通う瞬間を、いっときだけでもつくりましょう。
6
自分の気持ちを子どもに話してみて
「ママちょっとお腹が痛いの」「今日はね、ママ悲しい気分なの」のように、自分の気持ちを話してみましょう。2歳くらいからこういった気持ちを伝えることで、感情を理解する力が育まれたり、共感性が高まるというデータがあります。子どもの前では、自分の気持ちを表現しない、してはならないと思っている親がいますが、自分の嬉しい、困った、悲しい気持ちなどをときには素直に表現してもいいんです。そうすることによって、子どもの共感性も高まることがあるのですから。
「子どもはみんな可愛い、可愛いと思わなければいけない、そう思うことは親として当然」。そういった風潮が、社会にはあると思うんですよね。けれど、親も感情を持つ人間ですから、さまざまな要因によって、「可愛くない」と思うことはあって当然です。ですから、そう思ったとときは「こういう時期なんだな」「そう思うことだってある」と受け止めて、気持ちをリセットすることが大切です。自分の心に余裕があれば、見え方は変わってくるものです。
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