考える力を育める絵本 01 スイカを動かす方法を考えてみよう! 『ありとすいか』
「どうすれば小さいものが大きいものを動かすことができるか。こうした課題に取り組むためには、手順を考える必要があります。アリの目の前に手に入れたいスイカがあります。でも一人では運べません。仲間を呼ぶことにしてみますが、力を合わせても難しい。そこで、小さくすれば運べることに気づきます。スイカを切り分ける係、下ろす係、巣に持ち帰る係、と役割分担をし、見事達成。このような目的に向かって筋道を立てる論理的なものの考え方は、トラブル解決にも大いに役立つはず。『プログラミング的思考』とも言われています」
考える力を育める絵本 02 とんちの効いた解決法がおもしろい! 『一休さん』
「あの有名な小僧の一休さんが、得意のとんちを披露するお話の絵本です。『このはしわたるべからず』と橋の前にお札があったら、真ん中を歩いたり。お殿様に屏風の虎を縛ってみせよとの言いつけも、誰かが追い出してくれればと言ったり。解決不可能と思われるような案件にも、一休さんのような知恵があれば、何かしらの対応はできるでしょう。痛快なエピソードにぴったりの長野ヒデ子さんの明るい絵。何度読んでも飽きません」
考える力を育める絵本 03 さまざまな角度から考えてみよう 『りんごかもしれない』
「大人気ヨシタケシンスケさんのデビュー作。ある日、男の子が学校から帰ってくると、テーブルの上にりんごがひとつ。でも実はそう見えるだけで、りんごじゃないかもしれない、と考えてみます。丸まった赤い魚かもしれないし、中身はメカかもしれない。育てれば大きな家になるかもしれないし、心があるものなのかもしれない。男の子は、『りんご』という物体に対して、どんどんスケールの大きな仮説を立てて、そこに多くの可能性を見つけていきます。子どもが問題に直面したとき、『〇〇かもしれない』という発想があれば、自分で解決法を探せそう。あとは、証明するのみ。男の子も見せてくれます。さて、りんごだったのでしょうか?」
考える力を育める絵本 04 物語をつくってみるのはいかが? 『じのない えほん』
「小さなお子さんはまだ論理的思考を得る時期ではありませんが、自分なりの筋道を立てることはできます。間違ってもいいのでひとりで考えてみることが大切でしょう。そこで、まずは1日の流れのイメージを。朝起きたら歯磨き。そして着替えて朝ごはん。それからお外に遊びに行き、お友達を見つけて一緒にお家へ。ご飯を食べて体を洗い……。といったように本作品では基本的なプロセスが描かれているだけ。文字がないので自由にお話をつくれます。子どもの発想に委ねてぜひ楽しんで!」
考える力を育める絵本 05 論理的な屁理屈がユニーク! 『りゆうがあります』
「主人公のぼくは、鼻をほじる癖があります。ママに注意されても素直に謝まらず、言い訳を思いつきます。爪を噛んだり、びんぼうゆすりをしたりしても理由があるんだと。その発想の突飛なこと! 挙句に偉業をなしとげるためとまで言い放ちます。一見屁理屈のように聞こえる、ぼくの論理。でも言葉にして説明し、お母さんを説得しようとするプロセスは、課題と結論の筋道を立てる訓練にもなります。まずはぼくに習って、なんでもいいのでお子さんに理由を言ってもらうのもおもしろそうですね。書店の絵本コーナーでもお馴染みの大人気作品」
考える力を育める絵本 06 心温まるストーリーが魅力的 『ろくべえ まってろよ』
「親の手助けは、子どもが困っているときに必要ですが、手の貸し過ぎも問題ですよね。すぐに正しい解決策が見つからなくても、自分の頭であれこれ考えてみる。それが自立への近道でしょう。ここでは犬のろくべえが穴に落ちてしまいました。なんとか救出しようと、一年生の五人組は知恵を絞ります。頼れるお父さんは仕事で留守。お母さんもあてになりません。歌を歌ってみたり、シャボン玉を飛ばしてみたり。子どもたちの試行錯誤の末に、ろくべえを救う名案が! 灰谷さんの心優しい物語と、長さんのユニークな絵のマッチングが魅力の一冊です」
考える力を育める絵本 07 長い間愛され続けている作品を 『ラチとらいおん』
「世界一弱虫なラチ。イヌも怖ければ、暗い部屋も苦手。友だちでさえ。これでは到底、憧れの飛行士になれそうにもありません。困っていると、ぬいぐるみのライオンが現れます。そうだ、『ぼくにはライオンがいる』! そう気づいたラチは、少しずつ強くなって……。問題解決には、何かの手助けが必要だということもあります。それは、大人の手ではなく、自らの力で生み出すもの。60年代のハンガリー生まれの本作品。レトロスタイリッシュな絵も素敵。親子ともに勇気づけられるロングセラーです」
考える力を育める絵本 08 美しい絵にも注目したい! 『スイミー』
「生きていく上で、困難に遭遇することもあります。でも、打ちひしがれていては、何も解決しませんよね。主人公の小さな魚のスイミーは、広い海のなかで暮らしています。しかしある日、仲間たちが大きなマグロに食べられてしまいます。ひとりぼっちになって、悲しくなったスイミー。ふと、まわりの美しさに目を奪われます。ゼリーのようなクラゲやドロップみたいなワカメ……。見ているうちに、このままではいけないと考えます。そこで生み出した解決策は、誰の心にも残る名シーンに。世界中で愛されているレオ=レオニの代表作。さまざまな手法を凝らした絵も素晴らしい」