命がテーマの絵本 01 大人も胸を打たれる名作 『ずーっと ずっと だいすきだよ』
「ペットとの別れは辛いものです。僕と一緒に大きくなった、犬のエルフィー。一緒に眠り、一緒に遊びます。ときにはいたずらも。でもいつでも世界でいちばん素晴らしい犬だと家族みんなに愛されています。やがて僕の背が高くなったころ、エルフィーはだんだんと動きが鈍くなっていきます。僕は毎晩『ずっと大好きだよ』と伝えて……。いつかはやってくる死。命への思いに、共感なくしては読めません。学校教科書にも載っている名作です」
命がテーマの絵本 02 食べ物に感謝する心を育もう 『しんでくれた』
「インパクトのあるタイトルにドキッとしますが、谷川俊太郎さんの詩を土台に描かれた絵本です。わたしたち人間は、ほかの命をいただいて生かしてもらっています。でも人間はほかのものに対して死んでやることはできません。『うし しんでくれた ぼくのために そいではんばーぐになった』というように、シンプルな言葉が『生』そのものの尊さを押し出してくる力強い作品です」
命がテーマの絵本 03 お母さんを殺した犯人への憎しみの行き場は? 『チリンのすず』
「子羊チリンはお母さんと一緒に牧場で暮らしていました。ところが、ある日恐ろしい狼のウォーに襲撃されてしまいます。子どもを庇ったお母さんは死に……。悲しんだチリンはウォーの住む山へ行き、弟子にしてもらおうと考えます。強くなったら敵討ちをしようと。年月が経ち大人になったときにはどう成長しているでしょう。心は……。なんとも表現し難い感情が残り、命が消えることの悲しさが押し寄せてくる、傑作です」
命がテーマの絵本 04 おじいちゃんとのお別れが描かれたお話 『おじいちゃんの ごくらくごくらく』
「ぼくはおじいちゃんが大好き。園の送迎も、お風呂に入るのも、寝るのもいつも一緒です。オモチャもつくってくれます。湯船に浸かるとおじいちゃんの口癖が。『ごくらく、ごくらく』。心が幸せな気持ちになる合言葉です。ところがある日、入院することになってしまいます。元気になって戻ってくるとの約束は……? 心情豊かな文とダイナミックな絵。そしてふたりを繋ぎ続ける合言葉に、生きていることの喜びを感じる感動作」
命がテーマの絵本 05 ピュアな少年の心にほっこり 『いのちが かえっていくところ』
「たもんはお父さんに連れられて初めての岩魚釣りに出かけます。山の合間を流れる川のふちで、餌の取り方や釣糸の泳がせ方、竿の引っ張り方などを教わります。そして見事に大物が! 針を外し、火を焚き、焼いて食べるまでの過程を心の動きとともにエネルギッシュに描写した一冊。小さな命の重さがずっしりと伝わってきます」
命がテーマの絵本 06 小さな子でも理解できる可愛い絵とやさしい文章が魅力 『うさこちゃんの だいすきな おばあちゃん』
「大好きな人が亡くなったらどうなるでしょうか。お馴染みブルーナのうさこちゃんは、ここでおばあちゃんの死と向き合います。静かに息を引き取きとると、みんなが大粒の涙を流し、それからひつぎが運ばれてきます。故人を見送ることやお墓のこと、そしてどんな思いが残るのか。そうしたことが簡潔に小さい子に伝わる言葉で描かれている、心に響く作品です」
命がテーマの絵本 07 大切な仲間の死をどう乗り越える? 『わすれられない おくりもの』
「もの知りでみんなから尊敬されているアナグマ。自分の死が近いことを感じて、仲間たちに向けて手紙を書きます。そして静かな旅立ち……。残されたものたちはどのように悲しみを乗り越えていくのでしょうか。アナグマの思い出を語り合いながら、愛情や知恵を受け継いでいることに気づいていきます。そして感謝の気持ちへ。死を受け入れていくまでのプロセスを丁寧に描いた、心揺さぶられるロングセラーです」
命がテーマの絵本 08 地球と生命のつながりを学べる 『キツネ 命はめぐる』
「寒い冬。静まり返る森のなかで、小さな音をたてて歩いているのはキツネ。子ども達への餌を探しています。巣に戻ると元気な小狐たちが。まわりの自然から必要なものを得ながら、ときに遊びときに冒険し、生きる力を身につけていきます。ところが車の音がして、キツネは撥ねられてしまいます。生き物が死んだらどうなるのか。科学的根拠に基づいた内容で明確に答えてくれ、すべての命に意味があると教わる作品。巻末には解説も。センスが光るグラフックも素敵です」